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一連の「紀元会」事件で初公判 「集団リンチ」と地検

12月22日(土)

 小諸市の宗教法人「紀元会」施設内で9月に起きた集団暴行死事件で、死亡した会員のすし店経営奥野元子さん=当時(63)、同市荒町2=への集団暴行の事実を隠したとして、犯人隠避罪に問われた、奥野さんの二女森美智子被告(26)と、夫の池勇治被告(31)=森被告への傷害の罪で追起訴=の初公判が21日、長野地裁(土屋靖之裁判官)であった。

 森、池両被告はともに、集団暴行を主導したとされる窪田康子被告(49)=傷害致死などで起訴=の指示で、すし店内での家族4人による暴行に偽装したとし、起訴事実を認めた。

 一連の事件の公判は初めて。長野地検は冒頭陳述で、事件を「カルト教団内における集団リンチ」として概容を明らかにし、紀元会創設者の男性が2002年2月に死亡した後、男性の娘の窪田被告が会の実権を握る過程で「カルト化」したと指摘した。

 冒頭陳述によると、男性の死後、窪田被告と妹(36)は「生活と信仰は車の両輪」とした父親の方針を転換、会員に信仰一辺倒になるよう求めた。02、03年ごろから、施設の一室で地区ごとの「勉強会」を始め、窪田被告は「真剣な思いがあれば暴力も許される」として信者への暴行や虐待をエスカレート。事件の舞台となった反省会は今春ごろから始まったとした。

 9月24日の事件当夜は午後9時ごろから、森被告への集団暴行が始まり、窪田被告は、森被告が数年前に窪田被告の長女に避妊具を渡したと責め、信者に暴行を指示。避妊具付きのポリ袋を着させ、自らも森被告に馬乗りになるなどした。

 さらに、午後11時半ごろには、奥野さんを自宅から連れて来させ、暴行。押し倒したり体をけったり約1時間激しい暴行を続けた。窪田被告以外の共犯者は、自らの宗教的幸福を願い、同被告に気に入られようとして暴行に加わったとした。