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オフタイム:年末ワイド版 救急搬送拒絶=松本惇 /福島

 ◇患者から逃げない

 「我々は患者から逃げない」

 福島市の救急医療病院群の協議会が臨時会合を開いた後、有我由紀夫会長(大原綜合病院院長)は、救急患者の受け入れ徹底に強い決意を述べた。

 市内で11月、交通事故に遭った79歳の女性が救急搬送の際に4病院から受け入れを断られ、その後死亡した。「集中治療室(ICU)が満床だった」「専門医がいなかった」ことが受け入れ拒否の理由に挙げられ、協議会では「システムが整っていない所でも患者を受け入れるべきか」という意見も出た。有我会長は「患者をすぐに診なかったことが問題。満床は理由にならない」と早期診察の重要性を指摘した。

 全国の医療関係者には、県立大野病院の医療事故で加藤克彦被告(40)が逮捕・起訴された衝撃が今も残っている。協議会に参加したある医師は「大野病院の事故のように善意でやっても報われない。自分の施設では無理という判断もあるのでは」と複雑な心境を吐露した。

 厚生労働省は2010年度をめどに「医療事故調査委員会」(仮称)を発足させるが、専門家により事故の真相が解明されるという期待の一方で、身内同士の隠ぺいも懸念されている。

 大野病院事故で死亡した女性の父親(57)は「病院側から十分な説明がなかった。真相解明の機会を与えてくれた警察に感謝している」と話している。

 医師がすぐに診察してくれることは、患者や家族にとって心強い。さらに医療事故の際にも、事故と向き合い説明責任を果たすことが、本当に「患者から逃げない」ことになることを忘れないでほしい。

毎日新聞 2007年12月23日

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