ここから本文エリア 高校ラグビー、人気低迷 学校・親「危ない」2007年12月22日 きつい、汚い、けがが多いの「3Kスポーツ」と呼ばれるラグビー。第87回全国高校大会が27日に大阪府東大阪市の近鉄花園ラグビー場で開幕するが、予選への出場校数は全盛期の約6割にまで減少している。今年は事実上予選なしで全国大会に出場するチームもある。生徒たちが「3K」を嫌って敬遠することに加え、けがを恐れ親が入部にストップをかけるケースもあるという。ラグビー協会は人気低迷を防ごうと、必死に普及活動に取り組んでいる。 ◇ 11月4日にあった島根の「代表決定戦」。江の川が99―0で出雲・松江高専連合を破って17年連続の花園出場を決めた。しかし、実は試合前から県代表は江の川に決まっていた。 島根は90年代前半までラグビー部が4校あったが、現在活動しているのは江の川と出雲の2校だけ。しかも出雲は今年の部員数が15人に足りず、試合ができない状態だった。出場資格のない松江高専に助っ人を頼み、何とか出場にこぎつけた。ただし、合同チームの全国大会出場は基本的に認められておらず、代表決定戦は実際は「壮行試合」だった。出雲の持田徹監督は「勧誘活動もしたが、なかなか入部にはつながらない」と嘆く。 佐賀は参加が4校。ここも予選は有名無実化しており、佐賀工が準決勝で300―0、決勝も217―0で圧勝し、26年連続の出場を決めた。 県教委が89年に「県立高校運動部推進指定校制度」を設け、推薦入試で優秀な選手が一極集中した。佐賀工の小城博顧問は「全国で勝つためには必要な制度だと思う」。 ただ、他校にとっては死活問題。準決勝で300点を奪われた龍谷の西島幸成監督は「ラグビーの魅力をもっと伝えたいが、部員を15人そろえるのも大変。勝ち負けは大切だが……」。同校は部員不足のため来春の新人大会の辞退を決めた。 ◇ ラグビーの予選参加校数が最多だったのは第71回大会(91年度)の1490校。84〜85年に高校ラグビーを題材としたテレビドラマ「スクール・ウォーズ」が放映され、人気が高まった。しかし、今は900校台で増減を繰り返している。 背景には少子化の影響がある。高体連に加盟する全スポーツ部員数はこの10年間で25万人近く減り、07年度は約120万人。ラグビーは他の主要チーム競技と比べて苦戦している=表(高体連・高野連まとめ)。登録部員数は91年度の約半分。選手が集まる強豪校以外は、地盤沈下が進む。 日本ラグビー協会の前田嘉昭理事は「競技が、今の子どもたちが求めるものと合わなくなってきた」と話す。かつては体育の授業にも採用されていたが、けがなどを理由に敬遠されがちという。「けがをしたら学校の責任問題になる。保護者も危ないからやらせたがらない」。指導者不足も深刻になっている。 ◇ 人気低迷に危機感を持つ協会は、主に小学生を対象にコンタクトのない「タグラグビー」を広め、競技に親しむ土壌を醸成している。タグの全国大会も開催され、底辺は拡大している。 しかし、中学校でのクラブが少なく「継続性」という点で課題が残る。高校卒業後も、トップリーグでプロ化が進んでいるとはいえ、野球やサッカーと比べると受け皿は小さい。神戸製鋼の大畑大介選手は「ラグビーを続ける中高生が、将来の目標を明確に持てるような環境をつくらないと」と語る。 PR情報関西ニュース
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