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マック「×××はいけない」 週刊誌中づり広告を黒塗り

2007年12月22日09時25分

 「食べてはいけない」の表現はいけない?――。大手ハンバーガーチェーン、マクドナルドの批判記事を掲載した週刊誌の中づり広告が、相次いで電車・地下鉄での掲出を断られたり、黒塗りや削除されたりしていた。プライバシーや性にかかわらない見出しを多数の社が拒否するのは異例。駅のテナントに入っていることとの関連を認める社もあり、出版社は反発している。

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黒塗りされて電車につり下げられた「週刊現代」の広告=大阪市内で

 問題となったのは、今月10日発売の「週刊現代」12月22、29日号の広告にあった「『マクドナルド』を食べてはいけない!」の見出し。先月27日に日本マクドナルドの東京都内のフランチャイズ4店舗で、マックシェイクなどの賞味期限偽装が発覚したことに関連し、「別の店でも期限切れの野菜が使われていた」などと語る元従業員の声を記事で紹介した。

 出版元の講談社によると、関東、関西、中部のJRや私鉄、地下鉄など15社に広告を出すため、各社広告部門や系列広告会社に広告の事前審査を依頼したところ、相次いで認めなかったという。「食べて」の3文字を黒く塗った形で再依頼したが、それでも認めない社があった。最終的に各社の対応は分かれた。

 JR西日本、阪神、南海、近鉄などでは、「食べて」の3文字が黒塗りされた。JR西日本の車内広告を扱うジェイアール西日本コミュニケーションズ(大阪市)は、「今回の件は行政処分も受けておらず、あまり悪質ではないのに『食べてはいけない』と断定するのはいかがなものか」という。南海は「車内の広告を扱った広告会社が、表現があまりに抽象的で直接的だと判断した」と述べた。

 「食べてはいけない」を削除し、同じ記事の脇の見出しを拡大したのは、東京メトロ、東急、西武。「通常認めていない意見広告にあたる」(東急、西武)、「見出しを見る限り、例示が少なく誇大で事実誤認を招く」(東京メトロ)という。掲出を見合わせたのは京成、小田急。京成は「内容が明白な事実と確認できない」と説明する。

 マクドナルドは全国のJRや私鉄の駅施設や駅前に約750店を展開する。ほとんどの鉄道会社は「駅で商品が売られていることと関係ない」と説明する。だが小田急は「駅構内のテナントにも入っており、『食べてはいけない』商品を発売している認識はない。表現変更を求めたが拒否されたため、掲出を見合わせた」と説明する。

 「特に問題はなかったが、講談社側が自主的に黒塗りしてきた」(東武)と話す社もある。

 講談社の高橋容三・雑誌宣伝部長は「公共交通機関が、取材に基づく事実の報道を抑制するのはおかしい」と語る。

 日本マクドナルドは「当社から鉄道各社に配慮を要請したことはない。各社の判断について、当社が申し上げることはない」としている。

■独自の審査基準設定

 出版広告について、関東ではJR東日本と大手私鉄10社、関西ではJR西日本と大手私鉄5社が、不正確な表現、露骨な性表現などがないことを掲出条件としたガイドラインを作っている。

 各社は独自基準も設け、それぞれの裁量で判断している。JR東日本は昨年7月以降、JR東の労働組合を批判する記事を掲載した週刊現代の広告を承認していない。

 雑誌広告は新聞にも掲載されることが多い。朝日新聞は未成年の犯罪容疑者の顔写真など法に抵触する内容を含むときや、過激な性表現など「紙面の品位を汚す」と判断した場合、広告主などと協議の上、一部を削って掲載することがある。問題となった今回の広告はそのまま掲載した。

 桂敬一・元東大教授(ジャーナリズム論)は「広告といえども公の場で一定の表現の自由がある。今回のようなケースは、基本的には広告主の意図通り掲載し、結果責任は広告主が負うのが筋だろう」と話す。

◇鉄道各社の対応

■「食べて」の3文字を黒塗り

東武、京急、京王、東京都営地下鉄

JR西日本、阪神、南海、近鉄

名鉄、名古屋市営地下鉄

■「食べてはいけない」を削除し、同じ記事の脇の見出しを拡大

東京メトロ、東急、西武

■掲出見合わせ

小田急、京成

※JR東日本、JR東海、相鉄、阪急、京阪、大阪市営地下鉄は、以前から「週刊現代」の広告を扱っていない

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