Print this Post Article Lists Back

【コラム】名料理人は一日にしてならず(下)

 最近の有名店である東京は白金台の「高矢禮(ゴシレ)」も、有名なのはオーナーがペ・ヨンジュン氏だからであり、六本木の「真露(ジンロ)ガーデン」や「五味(オミ)」が有名なのも、それぞれ焼酎メーカーの真露とレジャー産業大手のパラダイス・グループが経営している店だからだ。名人級の料理長がいる店といった評判は、最近めっきり耳にしなくなった。

 先月出版された『ミシュランガイド東京版2008』は、世界でも最も多い150店に星が与えられたことで話題となった。選ばれた150店のリストには日本料理やフランス料理、イタリア料理、スペイン料理、中国料理が名を連ねたが、日本で60年近い伝統を誇る韓国料理は1店もなかった。それが残念で仕方なく、ミシュラン側に対し「最初から韓国料理は調査対象に含まれていなかったのではないか」と尋ねたところ、ややあきれた調子で「そういった区別をするはずがない」との答えが返ってきた。

 その後認証式の場面をテレビで見ていて、記者の疑問は解けた。最高級に当たる「三つ星」の栄誉を勝ち取った日本料理の5店から店の主人が出席したが、そのうちの4人は仕事着を着て出席した。中でも寿司屋の「すきや橋次郎」の主人、小野二郞さんは82歳の高齢にして今でも寿司を握っているという話だった。またこの店をはじめ、店名に料理長の名を冠した店が5店のうち3店を占めていた。

 それ以来、韓国料理店に行くたびに、店の様子を観察するようになった。ほとんどの店では厨房で従業員が決められた通りにスープを調理している一方、主人は韓国の連続ドラマを見ながら暇そうにしており、やることといったら手が足りないときだけキムチやカクテギ(大根のキムチ)を盛りつける程度だった。こんな調子では、サラリーマンの胃袋を満足させることはできても、ミシュランから星をもらえるはずがない。一流と二流には根本的に違いがあるのだ。仮に経営者を100回入れ替えても、厨房で心血を注いで料理する料理人の姿が無ければ、一流になることなど不可能だろう。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
このページのトップに戻る