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堺屋太一のビデオコラム vol.87 いつまで続く!?東京集中(1)
2007/11/26
東京一極集中。
戦後から始まった地域構造には様々な問題があります。
『地方の疲弊』脱却の議論が今後更に増えていくでしょう。
皆さんの目には『東京』と『地方』、どう映っているでしょうか?


ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋

――皆さん方は、どこの国でも技術が進み交通が発展し通信が盛んになれば首都圏、その国の一番大きな町、首都圏に機能が集まっていると思われるかもしれませんが、それがじつは日本だけなんです。アメリカの首都圏、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントン、あの辺はどんどん下がってますね。伸びているのはテキサスであるとかカリフォルニアであるとか、首都圏から遠い方です。ドイツでもイタリアでもそうですし、フランスのパリのように非常に集中していたところもどんどん落ちてきました。ロンドンもそうです。あるいは中国でも北京より上海や広州が流行っている。韓国でもソウルの比重が落ちてきて最近は釜山にデリバティブ市場が出来たりしています。日本だけは、この官僚機構で頑固に東京集中をしているんです。
 
 で、これをやめたらどうだ。地方に補助金をばら撒くんじゃなしに、東京集中政策をやめたらどうかと。そこで登場したのがこの地方分権ですね。地方に権限を分けようという考え方。この地方分権というのは国が権限を持っている。それを一つずつ分けていこう。国の権限を都道府県に分けよう。さらに都道府県の権限を市町村に分ける。全部国が権限を持っているという前提で考えたのが、この地方分権。小泉内閣では大変重要な政策として言われました。ところが、これではどこまで行っても国が持っている。それを分けてもらうだけだ。だから国の統制が消えない。そこで今、言いだされたのがこの道州制です。これは安倍内閣の時に道州制の審議会ができた。私もそのメンバーの一人なんですけれども、県をやめて国を小さくして、国の権限を道州に分けようというわけです。

 ここに、その道州制の案が3つ出ておりますが(ビデオコラム参照)、これは道州制の地方制度審議会というところで出されたもので、日本を9つの道と州、北海道、他は州でありますが9つに分けてある。それから11に分けてある。どこが違うかといいますと四国と中国、これが一つであったところがここでは二つ、別々にしよう。それから、ここに北陸州というのを一つ作ろうと。それから13の案。こんどは九州を二つに分ける、東北を二つに分ける。

 こういうような案が出ているわけですが、こういう具合にして、国の持っている権限を小さくして国は外交や防衛や通貨、共通通商政策などに限って、たいていの公共事業や商品企画、そういったものは道州に任せよう。こうするとうまく行くのではないか。こういう議論が登場しているわけです。道州制、これはいずれまたこれだけの議論で深くしたいと思いますけれども、いろんな利点がある。この点について、また次の機会にお話したいと思います。

 ぜひ、そういう具合に、地方の格差をなくす、地方と地域格差をなくす。東京と地方の格差をなくすのに補助金でやるのか、構造改革でやるのか。この二つの問題のあることをぜひご理解いただきたいと思います。――

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