クラブW杯最終日の16日、アジア王者・浦和は、3位決定戦でアフリカ王者のエトワール・サヘル(チュニジア)を2−2(PK戦4−2)で制し、過去アジア勢で最高の3位となった。浦和は250万ドル(約2億8300万円)の賞金を獲得。だが、選手起用を巡る監督と選手の火ダネがさらに大きくなった。
「終わりよければ、すべて良し」といかないのが今季の浦和だ。退団するFWワシントンの“有終2発”で今年最終戦を白星で締めくくったが、今年1年は成功か失敗か。監督と選手の意見が真っ二つだ。
「今年57戦目。チーム一丸となって力を振り絞って結果を出した。今年1年、リーグ戦もACLも選手を変更しませんでした。それは精神的に安定した選手だけが、このようなチャレンジに耐えられるから。これが私の哲学。間違っていなかった」
この試合でも、1選手の交代枠も使わなかったオジェック監督。世界3位のクラブとなり、オレ流に胸を張った。
今年の浦和はアジア王者とJリーグ王者の二兎を追い、終盤までは完全に成功していた。だが、アジア王者になった途端に大失速。クラブW杯出場権を得たものの、最後になってスタミナ切れした。ほぼ手中に収めたはずの、J王者も逃している。
その余波で、オジェック監督には一時、解任報道が飛び出すほどまでだったが、今大会クラブW杯3位という燦然(さんぜん)とした功績で帳消し。来年の続投が決定している。
ある選手は、「今年のように選手を固定したやり方で来年もやるなら、途中で外に出てしまう選手が出てくる」とこぼし、不信感を打ち明けた。すでにスタートしている契約更改の中でも、オジェック批判が噴出中だ。
「来年は(選手起用を)考え直すように、はっきり監督に要望するように話した」という選手もいれば、「プロなんだから疲れているなら、『疲れている』と監督に言うことも必要」と、オジェック哲学に正面から異を唱える選手まで出ている。
来季にむけて、MF梅崎(大分)ら大型補強が確定的な浦和。自信を深めたオジェック監督が、来季もオレ流を貫けば、チーム内に渦巻く不満の拡大は必至だ。喜んでばかりはいられない。
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