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新制度の救済、年5百〜8百人 出産事故での脳性まひ児 

2007年12月19日09時04分

 出産時の医療事故で重い脳性まひになった子どもを保険で救済する新制度の原案が18日、明らかになった。通常の妊娠・分娩(ぶんべん)で起きたときを前提とし、年間に誕生する脳性まひ児全体の2〜3割にあたる年間500〜800人が対象になるとみられる。実施主体となる厚生労働省所管の財団法人・日本医療機能評価機構が19日開く準備委員会で提示、08年度中の始動を目指す。

 原案では、給付対象を「通常の妊娠・分娩で脳性まひになった場合」とし、(1)妊娠33週以降に体重2000グラム以上で誕生(2)身体障害者等級の1〜2級に相当する脳性まひ、との基準を設けた。

 先天性の脳の異常や、出産後の感染症などで脳性まひになった場合などは、対象とならない。未熟児も原則対象外とするが、出産時の医療事故が脳性まひの原因と考えられる場合は救済する方向で同機構が個別に審査する。

 給付額は1人あたり2000万〜3000万円と見込まれ、額は年度内をめどに詰める。

 財源は病院や医院が支払う保険料。分娩ごとに約3万円と試算され、多くの医療機関では出産費用に上乗せするとみられる。このため厚生労働省は、健康保険が支給する出産育児一時金(現行基準額35万円)を、保険料相当分の額を引き上げる方向で検討している。

 また原案は新制度を「準公的」と位置づけ、「原則すべての出産を扱う医療機関が保険に加入する必要がある」としている。

 新制度は、医師の過失の有無にかかわらず、被害者を速やかに経済的に支援するのが目的。産科医不足の一因とされる出産をめぐる医療紛争を減らす狙いもある。

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