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【産経抄】12月17日

2007.12.17 02:33
このニュースのトピックス自殺

 殺人事件を報じるニュースに接していて、違和感を覚えることがある。加害者と被害者の間に「何らかのトラブルがあったのではないか、と警察はみている」。こんな言い回しに出合ったときだ。

 ▼殺される側にも、何らかの理由があるかもしれない、そういわんばかりではないか。「冗談じゃない」と反論したくても、被害者にその機会が与えられることは永遠にない。

 ▼長崎県佐世保市のスポーツクラブで起きた散弾銃乱射事件は、無差別殺人ではなく、計画的な犯行との見方が強まってきた。被害者は、子煩悩な3児の父親と子供たちに慕われる水泳インストラクターだった。命を奪われなければならない理由などあるはずがない。2人の無念を思うと、胸がつまる。馬込政義容疑者(37)は自殺することで、動機を語る道を自ら閉ざしてしまった。

 ▼今年5月の小欄で、53歳の主婦が東京都品川区の路上で、隣家に住む男(53)に刃物で刺されて殺害された事件を取り上げたことがある。犯行後自殺した男は、子供に声をかけて体に触ったり、屋外を全裸で歩き回ったり、日ごろから奇行が目立った。

 ▼馬込容疑者もまた、迷彩服姿で銃を持ち歩き、深夜近所の家の呼び鈴を鳴らして、トイレを借りようとしたこともある。こんな男が、散弾銃3丁と空気銃1丁を合法的に所持していた。近所の住民が許可を取り消すように警察に求めても取り上げられない。私たちが、暮らす社会の実態である。

 ▼「日本人は、安全と水は無料で手に入ると思いこんでいる」。山本七平がユダヤ人の口を借りて、あきれかえってから30年以上がたつ。少しでも安全に暮らすために、どんなコストをどれだけ負担しなければならないのか、真剣に考える時がきている。

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