破損した8号柱の索輪(代表撮影)
木曽郡王滝村のスキー場「おんたけ2240」でゴンドラリフトが緊急停止し、乗客90人が最長半日近く閉じ込められた事故で、木曽署と県警は16日、下りワイヤが外れたゴンドラの支柱などを実況見分した。これまでに、ワイヤは支柱にある下り用の8個の滑車(索輪)すべてから外れ、1個の滑車は縦に割れる状態で破損していたことが分かった。
木曽署などは同日、15日午前10時前にワイヤが滑車から外れる「脱索」が起きた、ふもとから8本目の支柱付近を詳しく調べた。また、国土交通省北陸信越運輸局(新潟)も、乗客の救出が遅れた原因などについて、スキー場関係者から聞き取り調査をした。
スキー場を運営している指定管理者「おんたけマネジメント」によると、滑車は直径40センチ、厚さ9センチ。破損した滑車は、ワイヤと接しているゴムがねじ切れて片側のアルミ製の縁が吹き飛び、同製の本体も半分近く欠けた状態だった。3日に点検した際は、異常はなかったといい、なぜ破損に至ったかは分からないとしている。
ただ、同社には王滝村から経営を引き継いだ段階で、滑車の交換データがなかったという。田中博幸支配人は「古いと思われるものはできるだけ交換していきたい」とした。
北陸信越運輸局からは3人が訪れ、救助活動を始めるまでの経過などを調べた。同局鉄道部索道課の臼井茂課長は「脱索は想定の範囲内のトラブル。事故とは考えていない」とした上で、「乗客がゴンドラ内に取り残された時間が長い点を重視し、関係者から話を聞き、現場を見るため訪れた」と話した。通報態勢など、何らかの指導が必要か検討するという。
「おんたけマネジメント」の西田吏利社長はこの日、スキー場で記者会見を行い、「事故を起こし大変申し訳ない。お客さまにも大変ご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」と謝罪した。
通報遅れや救助と復旧を並行して行わなかった点について、「運営態勢が固まっておらず、準備不足だった」と人員面の不備を認めた。ゴンドラの無線も点検が十分でなかったことを明らかにし、さまざまな面から対応を検証し報告書をまとめるとした。