全焼したさいたま市緑区中尾の大型量販店「ドン・キホーテ浦和花月店」の焼け跡から14日、3人の遺体が見つかり、埼玉県警の調べで、いずれも行方不明になっていた同店の従業員だったことが確認された。このうち男性は初期消火に参加した後に店の奥に入り、女性2人は一度店外へ出たが、再び店に入ったとみられる。天井まで商品を積み上げるドン・キホーテの「圧縮陳列」と呼ばれる陳列方法が火の回りを早めた可能性もあるが、同社は関連を否定。県警は防火態勢が十分だったかも調べる。
県警は同じ13日夜に、同市見沼区大和田町1丁目の「大宮大和田店」であった火災も含め、火の気のない場所から出火したことなどから現住建造物連続放火事件との見方を強め、14日、浦和東署に捜査本部を設置した。
見つかった遺体のうち2人は歯の治療痕などからさいたま市緑区三室、社員大島守雄さん(39)と同区東浦和2丁目、アルバイト関口舞子さん(19)と判明。残る1遺体は、着衣などから同区中尾、契約社員小石舞さん(20)と確認された。
調べでは、大島さんは電気コーナー、小石さんと関口さんはブランド品コーナーの担当。売り場はいずれも出入り口から離れた店の奥にあった。
同社によると、アルバイトらが「火事だ」と叫ぶ声を聞き、大島さんを含む4人が消火器を持って駆け付け、初期消火に当たった。だが既に炎が立ち上り煙も激しかったため消火を断念。3人は避難したが、大島さんだけが店の奥へ向かったという。
小石さんと関口さんは火災発生後、いったん店外へ出た後にそろって店内へ入っていく姿が目撃されている。
県警の調べでは、3人とみられる遺体は店舗中央部のスポーツ用品売り場で見つかった。女性1人と男性がやや重なるように倒れ、店の奥へ約4メートルのところにもう1人の女性が倒れていた。
遺体はいずれも激しく炭化し、血液中から少量の一酸化炭素が検出されたという。県警は、3人が声を掛け合うなどして合流したが炎に行く手を阻まれた可能性が高いとみている。15日に司法解剖を行い死因を調べる。
また、出火場所は、店員の証言から入り口に近い布団売り場とみられている。近くにいた男性アルバイト(19)は、午後8時15分ごろ火災報知機が作動したため付近を見回し、布団陳列棚の真ん中の段にある布団から火が出ているのを目撃したという。
浦和花月店にはスプリンクラーがなかったが、平屋建ての場合、消防活動で進入できる一定の大きさの窓や出入り口があればスプリンクラーの設置義務がないという。さいたま市消防局は「義務がなくても自主的に付けているところもある」としている。
(12/14 23:15)
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