2007-12-14
■ブログの辛口評価は事実でも名誉毀損
ブログなどでたとえばレストランの料理や映画などを辛口評価すると、それが事実でも名誉毀損に該当するんだって。
驚き桃の木だあ!
そう考えると、雑誌やテレビで、レストランや映画などのレビューが甘口になりがちなのは、仕方ないことなのかって思った。
だって、料理食べて、まずい、とか、映画観て、つまんない、って書いたり言ったら、名誉毀損になるわけだから。
なぜなのか。(12月9日の日経新聞の記事より)
- 刑法の規定で、人の名誉を棄損する情報を公に伝えると、その事実の有無にかからわず、告訴があれば名誉棄損の罪に問われる可能性がある。
- ブログなどホームページに書き込んだ内容は、アクセス制限などをかけない限り世界中の人が閲覧できるから、公に伝えるという前提は満たす。
- 刑法は名誉棄損罪の適用が除外となる条件も規定している。(1)内容が公共の利害に関する事実である(2)公益を図る目的で公表した(3)真実であるとの証明がある――をすべて満たす必要がある。
- ブログに書き込んだ内容が真実だったとしても、店に対する批評が公共の利害に関することでなければ、名誉棄損とみなされる可能性がある。
- 料理や接客態度の問題は主観的な要素も大きく、公益性も低いので名誉棄損に該当する可能性が高い
- 一方、店の食材や衛生の話題なら健康にもかかわるので、「公共の利害に関する」と認められる公算が大きい
要は、料理がおいしいかまずいかは主観的な要素だから、公共の利害に関することではないので、たとえ本人が「まずい」と感じても、それをブログなどで公に伝えると、名誉を毀損したことになり、告訴があれば名誉毀損の罪に問われる。
そうなんだと思ったんだ。そうなんだろうけど、そういう主観的な要素についての真実の情報というのはではどこから仕入れたらいいのだろうか?
ご参考までに日本経済新聞の記事を掲載しておきます。
辛口ブログ、店から「名誉棄損」――接客や味、事実書いた(弁護士さん相談です)(12月9日、日本経済新聞朝刊)
弁護士 主観的該当の可能性
妻が半年前からブログ(日記風の簡易ホームページ)でお薦めの店を紹介するグルメガイドを書いている。味や接客態度が気になった店は辛口で批評し、人気も出てきた。ところが厳しく評価した店の関係者から「名誉棄損だ。削除しろ」と抗議のコメントがつけられた。憲法で表現の自由が保証されているのに、応じなくてはいけないのか。
夫「厳しいことを書かなければ良かったのに」
妻「本当のことを書いただけよ」
警察庁の調べによると、各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口などに寄せられたインターネットでの名誉棄損や中傷に関する相談は二〇〇六年に八千三十七件と〇二年に比べ三倍以上に増えた。〇七年も上半期だけで前年同期比一六%増となっている。
飲食店の名誉(信用)棄損を巡る訴訟では、週刊誌が低価格回転ずし店で代替ネタが使われているとの記事を掲載したことに対し、大手チェーンの一社が「すべての店が使っているように断定している」として、〇五年に損害賠償と謝罪広告の掲載を求め訴えた例がある。
刑法の規定でも、人の名誉を棄損する情報を公に伝えると、その事実の有無にかからわず、告訴があれば名誉棄損の罪に問われる可能性がある。ブログなどホームページに書き込んだ内容は、アクセス制限などをかけない限り世界中の人が閲覧できるから、公に伝えるという前提は満たす。心配になった妻は弁護士に相談した。
妻「表現の自由は認められるはずです」
弁護士「真実でも名誉棄損になる場合があります」
刑法は名誉棄損罪の適用が除外となる条件も規定している。(1)内容が公共の利害に関する事実である(2)公益を図る目的で公表した(3)真実であるとの証明がある――をすべて満たす必要がある。民事でも最高裁が、この考え方を援用した判例が確立している。
この相談の場合、妻が書き込んだ内容が真実だったとしても、店に対する批評が公共の利害に関することでなければ、名誉棄損とみなされる可能性がある。
ネット問題に詳しい金野志保弁護士は「料理や接客態度の問題は主観的な要素も大きく、公益性も低いので名誉棄損に該当する可能性が高い」と指摘する。一方、店の食材や衛生の話題なら健康にもかかわるので、「公共の利害に関する」と認められる公算が大きいという。
大手回転ずしチェーンが週刊誌を訴えた訴訟で大阪地裁は〇六年、原告が特定される内容ではないことなどを理由に請求を棄却した(確定)。
同判決は「業界やその構成員に対する信用棄損が生じたとは解されない」とし、仮に棄損したとしても「記事は違法性を欠く」とした。記事が外食産業の表示問題を扱うことから公益を図る目的があり、実際に代替ネタを使う店もあることを真実と認めた。
妻「自分の名を匿名で書いても訴えられますか」
弁護士「匿名でも、法律に従い発信者情報が開示されることがあります」
相手が損害賠償を請求してくる場合、こちらが誰なのかを特定しなければならないから、書いた者の情報を開示するようプロバイダー(ネット接続事業者)に求めることが考えられる。プロバイダーが開示に応じなければ、相手が裁判所に開示請求する可能性もある。
裁判所は内容が名誉棄損か否かを判断し、名誉棄損なら書き手の情報が相手に開示される。ホームページ上の情報で名誉を棄損されたとして弁護士がポータルサイト運営会社に発信者情報の開示を求めた訴訟で東京地裁は〇五年、プロバイダー責任制限法に基づき運営会社に発信者のメールアドレスとページ更新データの開示を命じた。
こうしたときに、相手と全面的に争うかどうか。表現の変更や削除に応じないのであれば、訴訟に備えて、内容が真実だと証明できるものをそろえる必要がある。
実際に飲食店が批評などに対し訴訟を起こす例は少ないようだ。外食大手のすかいらーくは「中傷などでなければ立ち入ることはない」(社長室)とする。ただ、訴訟ともなれば相応の負担を伴う。金野弁護士は「飲食店の名誉にも配慮し、賢い書き手であってほしい」という。(原克彦)
法律豆知識
裁判所による削除命令といった法的措置がなくても、プロバイダーなどが独自の判断でブログの内容を削除することはあり得る。例えばヤフーでは、巡回や第三者からの通報などで発見した問題部分は社内ガイドラインに沿って削除の是非を決める。発信者に削除の通告はしない。
ブログ運営会社の多くは利用規約に、必要に応じて内容を削除できる権利を盛り込んでいる。書き手は利用規約に合意してサービスを使うため、内容が消されたことについて争う余地は少ない。
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