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2007.12.14号を読む 2007.12.12号を読む

診療報酬本体引き上げへ
大詰めをむかえた次期診療報酬改定
20日に2008年度予算・財務省原案内示

2007.12.14

 2008年度予算編成の焦点である次期診療報酬改定の本体引き上げがほぼ固まった。社会保障費の自然増圧縮分2200億円をめぐっては、薬価改正や後発医薬品の使用促進策に加えて、政管健保の国庫負担の一部を特例的に健保組合や共済組合などに肩代わりさせ、1000億円強を捻出できる見通しが立ったためだ。それでも診療報酬本体の引き上げ率は0.3%前後の小幅となる見通しだが、これにより本体のマイナス改定回避は現実的になった。財務省は20日に08年度予算原案を各省に内示する。

 予算編成の焦点となった社会保障費の自然増2200億円の圧縮をめぐっては、政管健保の国庫負担分を健保組合と共済組合、国保組合にそれぞれ肩代わりさせる案が自民党を中心に検討された。

 11日には首相官邸で自・公の政調会長らと町村信孝官房長官、舛添要一厚生労働相が協議し、健保組合750億円、共済組合250億円、国保組合30億円を臨時特例的に肩代わりしてもらう案を確認。翌12日には厚労省を通じて健保連にも、その内容が伝わった。

 健保連側は当初、「健保組合の独自性が発揮されない」「財政調整が一元化への一里塚になる」などと、この提案の受け入れに難色を示した。しかし、自民党との事前協議において、あくまで特例的な措置で、一元化を目指すものでないことを説明し、党側が説得したという。

● もはや地域医療は危険水域

 一方、2200億円を埋める財源確保に方向性がみえてきたことから、診療報酬本体の引き下げ回避に向けた気運が高まり、逆にどこまで引き上げ財源を確保できるかに焦点が移ってきた。

 過去の改定率をみても、02年度改定2.7%引き下げ(本体1.3%引き下げ)、04年度改定1.0%引き下げ(同±0%)、06年度改定3.16%引き下げ(同1.36%引き下げ)と3回連続のマイナス改定が行われた。

 最近では、小児科や産科、救急医療など地域医療の弱体化や、地方における医師不足などが問題視され、「もはや地域医療は危険水域に入った」との声も聞かれる。

 自民党医療委員会と厚生労働部会は今月4日にプラス改定を求める決議文を採択し、党幹部や関係閣僚に理解を求める場面もみられた。

 その責任者の1人である自民党社会保障制度調査会の鈴木俊一会長は12日に東京都内で講演し、診療報酬本体の引き上げ幅について、相場感と断りながらも「0.1%から0.9%、さらには1.0%まで幅があるが、がんばらなくてはならない」と強い意欲を示した。

 また、鈴木会長は地元・岩手県の医療事情に照らし、「地元の医師会関係者から聞く話と、医療経済実態調査の数字がかい離している。必ずしも実態を反映したものでない」と指摘。その背景に回答率の低さなどがあるとして、「改定率を決める資料だけに、日本医師会にも苦言を呈したい」と述べた。

 予算編成作業は18日の事前閣僚折衝を経て、20日に原案が内示される。



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