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ASEAN諸国における対日世論調査

平成14年11月

 平成14年5月から9月にかけて、ASEAN6ヶ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)における対日世論調査を行ったところ、主要ポイントは以下の通り。本件世論調査は過去5回(1978、83、87、92及び97年)実施しているものである。なお、今次調査より、対象国としてベトナムを追加した。

1.結果概観

(1) 日本は、米国とともに「ASEAN諸国以外で一番良く知っている国」として挙げられており、ベトナム、シンガポールを除く全対象国において第2位以内を占めた(ベトナムでは第3位、シンガポールでは第4位)。日本に対する関心は、引き続き日本の「経済」、「科学・技術」分野において示された。

(2) 日本を「信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」とした回答が増加し、タイ、ベトナムを除く全対象国において8割以上となった(タイでは67%、ベトナムでは72%)。

(3) 日本の貢献については、全対象国において「日本はアジアの一国としてアジアの発展のために積極的役割を果たしている」との回答が高い割合を占めており、全体としては引き続き肯定的な評価を得ている。特にインドネシアにおいては「日本はその経済力に相応しい重要な国際的役割を応分に果たしている」とする回答が80%以上となった。

(4) 日本の安全保障政策への理解度は改善され、シンガポールを除く全対象国において「日本はある程度の自衛力を持ちながら諸外国との友好関係を維持することによって安全保障を確保している」との回答が第1位となり、マレーシアを除く全対象国において5割以上が「日本は平和愛好国としての立場を堅持し、軍事大国とはならないだろう」と回答した。また、第二次世界大戦中の日本について、全対象国において「悪い面を忘れることはできない」との回答が減少し、「悪い面はあったが、今となっては気にしない」との回答が増加し、全体の約5割を占めた。

(5) 日本企業の進出については、全対象国において「歓迎する」が第1位を占めた。


2.調査概要

(1)実施時期: 平成14年5月〜9月

(2)調査対象: ASEAN6ヶ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の18歳以上の識字層の男女800〜895名。

(3)調査方法: 調査員による面接形式。


3.各論 (括弧内の数字は各々前回及び前々回の回答率。)

(1) 日本に関する認識と関心分野

ASEAN諸国以外で、一番よく知っている国は「日本」

インドネシア(第1位):64%(42, 65)マレーシア(第2位):26%(44, 47)
フィリピン(第2位):25%(32, 34)シンガポール(第4位):10%(15, 8)
タイ(第2位):29%(24, 30)ベトナム(第3位):18%

日本に関して特に良く知っている分野は

「日本製品」

インドネシア(第1位):70%(81, 85) マレーシア(第1位):77%(75, 76)
フィリピン(第2位):56%(65, 67)  シンガポール(第1位):76%(64, 62)
タイ(第1位):48%(64, 61)ベトナム(第1位):82%


日本に関してもっと知りたいと思う分野は

「科学・技術」

インドネシア(第1位):43%(56, 66)マレーシア(第2位):32%(35, 32)
フィリピン(第1位):52%(44, 42)シンガポール(第4位):20%(15, 16)
タイ(第1位):48%(39, 38)ベトナム(第2位):39%

「経済」

インドネシア(第2位):33%(32, 33)マレーシア(第1位):33%(37, 29)
フィリピン(第2位):43%(36, 40)シンガポール:1%(33, 19)
タイ(第3位):31%(39, 37)ベトナム(第1位):42%


:シンガポールにおいては、「文化芸術」が25%で第1位、「日本人の生活・ものの考え方」が24%で第2位、「歴史・伝統」が21%で第3位。

(2) 対日信頼度及び日本との関係

日本は「信頼できる」/「どちらかというと信頼できる」(合計)

インドネシア:86%(78, 88)マレーシア:85%(83, 81)フィリピン:81%(76, 71)
シンガポール:81%(63, 63) タイ:67%(82, 66)ベトナム:72%

あなたの国と日本は「友好関係にある」/「どちらかというと友好関係にある」(合計)

インドネシア:92% (97, 100)  マレーシア:93%(90, 92)フィリピン:90%(89, 83)
シンガポール:96%(87, 91) タイ:89%(98, 94)ベトナム:93%


(3) 日本の国際的役割及びアジアの発展のための役割への評価

日本はその経済力に相応しい重要な国際的役割を

「応分に果たしている」

インドネシア:80%(71, 88)マレーシア:43%(60, 56) フィリピン:51%(54, 48)
シンガポール:30%(32, 27)タイ:32%(62, 58)ベトナム:63%

「少しは果たしている」

インドネシア:9%(15, 8)マレーシア:42%(22, 30) フィリピン:40%(35, 34)
シンガポール:51%(36, 35)タイ:32%(26, 20)ベトナム:16%


:シンガポールを除く全ての対象国において「応分に果たしている」への回答が第1位(タイについては「少しは果たしている」が同率第1位)

日本はアジアの一国として、アジアの発展のために積極的役割を

「果たしている」/「まあまあ果たしている」(合計)

インドネシア:85%(90, 90)マレーシア:79%(79,77)フィリピン:90%(88,93)
シンガポール:80%(61,61)タイ:69%(86,82)ベトナム:80%


(4) 日本の安全保障政策についての認識

日本はどのような政策で日本の安全保障を確保していると思いますか。

「ある程度の自衛力を持ちながら諸外国との友好関係を維持することによって」

インドネシア:45%(27, 43)マレーシア:33%(17,16) フィリピン:51%(41, 24)
シンガポール:12%(13, 18) タイ:34%(33, 29)ベトナム:28%

「強力な軍事力を持ち日本の独力で」

インドネシア:21%(30, 23) マレーシア:25%(33, 37) フィリピン:19%(24, 28)
シンガポール:33%(31, 30) タイ:8%(18, 12)ベトナム:28%


日本は将来軍事的にどのような国になると思いますか。

「平和愛好国としての立場を堅持し、軍事大国とはならないだろう」

インドネシア:62%(57, 68) マレーシア:43%(45, 40) フィリピン:68%(66, 43)
シンガポール:54%(35, 37) タイ:52%(60, 53)ベトナム:74%


第二次世界大戦中の日本について、

「悪い面はあったが、今となっては気にしない」

インドネシア:44%(48, 52) マレーシア:50%(43, 33) フィリピン:51%(37, 37)
シンガポール:62%(47, 44) タイ:45%(46, 36)ベトナム:71%

「悪い面を忘れることはできない」

インドネシア:25%(33, 29) マレーシア:22%(32, 40) フィリピン:33%(36, 37)
シンガポール:31%(41, 31) タイ:18%(24, 18)ベトナム:12%


(5) 日本企業の進出

日本があなたの国に進出し、投資したり工場などを設立することを「歓迎する」

インドネシア:55%(67, 34) マレーシア:57%(56, 65) フィリピン:45%(42, 40)
シンガポール:64%(67, 54) タイ:44%(50, 46)ベトナム:76%


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