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輸血感染との区別図る 薬害肝炎訴訟、国の救済限定主張

2007年12月11日

 薬害C型肝炎集団訴訟の大阪訴訟控訴審で、国が患者の救済範囲を限定した和解案とするよう大阪高裁に求めている理由の詳細が、関係者の話でわかった。国の法的責任の時期を最も短く認定した3月の東京地裁判決をもとに、それ以前の患者の大半は「輸血による感染」とし、それ以後も「線引きしなければ救済対象者が際限なく広がる」と主張しているという。原告側は、救済範囲の限定に批判を強めている。

 東京地裁判決は、血液製剤「フィブリノゲン」の投与をめぐる法的責任を、国については87年4月〜88年6月、製薬会社は85年8月〜88年6月と限定的に認めた。国は同判決に沿った和解案を主張。大阪高裁が13日に示す和解案も国の意向が反映され、原告全員に解決金を払う一方、今後提訴する患者の法的責任は限定的にしか認めない内容になるとみられている。

 関係者によると、国は、肝炎ウイルスの活動を抑える処理方法が変更される85年8月より前は感染の危険性が低かったとした東京地裁判決を踏まえ、当時は「輸血での感染」が大半で「救済対象とすれば、薬害でないのに責任を認めることになる」と指摘しているという。

 また、感染の危険性を医師らに知らせるよう国が製薬会社に指示して緊急安全性情報が出た88年6月より後は「責任が生じる余地はない」と主張。カルテや投薬証明などを入手できる患者は潜在的に多いとし、救済範囲を絞る考えを高裁に示しているとされる。

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