◇病歴含む犬保護施設
大阪市の犬の保護団体「アーク・エンジェルズ」(林俊彦代表)が高島市今津町酒波に建設した皮膚病感染歴のある犬などの保護施設「滋賀シェルター」が9日、開所した。この施設を巡っては、4月から周辺環境への悪影響などを理由に地元住民らが反対し、犬の搬入が始まった10月6日未明には、海東英和市長や住民ら約200人が徹夜で道路を封鎖。この日も約200人が近くの集会所で集会を開いたり、デモ行進もしたが、犬の搬入はなく、実力で阻止する騒ぎにはならなかった。
団体は今春、虐待された犬などの保護施設の建設に着手。地元住民と数回にわたり話し合う一方、既に先月27日に犬約20匹を搬入したほか、この日まで数回に分け、皮膚病に感染経験がある犬が数匹ずつ持ち込まれ、計約50匹に。住民らは10月に団体側と交わした「犬搬入時は住民の合意を得る」とした約束が破られたと訴え、「代表者の許可を得た」とする団体側と対立が続いている。
住民らは抗議集会で、「犬の搬入は了解していない」と改めて主張。団体への抗議文書を林代表に手渡した後、「自然を守ろう」、「合意のない開所式は認めない」などとシュプレヒコールを上げながら、「環境汚染は許さない」などと書いたプラカードを掲げて施設周辺をデモ行進した。
一方、この日、施設では、県内外の愛犬家向けに、搬入済みの犬の譲渡会が開かれ、団体のホームページなどで知った人が同施設を訪問。団体側が飼い主の適性を審査したうえ、後日、犬が引き渡されるという。
デモについて林代表は「周囲に影響が出ないように施設を改善してきた。感情論で反対されても、今後どう話し合えば良いか分からない」と話している。【近藤修史】
毎日新聞 2007年12月11日