アメリカン・メディア
482号    平成19年10月05日    編集:テレビ朝日アメリカ・インク

アメリカン・メディア

アメリカン・メディア大リーグプレーオフ戦のCM売れ行き好調

アメリカン・メディアIPテレビに高い評価

アメリカン・メディアCNBCがユニークなHD放送へ

アメリカン・メディア完全デジタル化周知CMが初登場


大リーグプレーオフ戦のCM売れ行き好調

米大リーグは10月に入りプレイオフ・シーズンを迎えているが、放送権を握るテレビ局のCM販売が好調に推移した模様だ。大リーグのプレーオフ戦は、地上波テレビはFoxネットワークが、ケーブル局ではタイムワーナー傘下のTBS(ターナー・ブロードキャスティング・システム)が独占放送するが、Foxは9月下旬の段階で全CM枠の85%が、今年初めて放送権を所有することになったTBSではほぼ完売だという。

米広告代理店PHDのネットワーク担当専務、ハリー・キーシャン氏は、「スポーツ番組は好調だが、中でも大リーグ人気はこれからも上昇カーブを描き続けるだろう。そのおかげでプレーオフのCMは高値を呼んだ。こちらの言い値で変えた時代が懐かしいほどだ」と語っている。Foxが今シーズンに放送したペナント戦の視聴率は広告主が重要視する18〜49歳台視聴者層で昨年比7%増、18〜34歳若者層では17%の増加を示したという。

業界誌「メディアウィーク」によると、Foxがプライムタイムで放送するアメリカン・リーグのプレーオフ戦の30秒CMには20万j(約2,300万円)の値がついている模様。また、ワールドシリーズ戦の30秒CMは36万5千j〜41万5千j(約4,200〜4,770万円)で取引されているという。昨年は、金曜日に放送された試合が多かったが、今年はゲームが水曜日と木曜日夜に組まれていることも広告主の好感をかった格好だ。金曜日夜はテレビ視聴率が最低の日なのに対し、水曜日と木曜日のプライムタイムはテレビ視聴者数が最も多い曜日で、各局とも人気番組を編成している。

ちなみに、スポンサーにはGM(ゼネラルモーターズ)、大手ビール会社「のアンヒューザー・ブッシュ」、マスターカード、バンク・オブ・アメリカ、ペプシ・コーラなどの優良企業が名を連ねている。
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IPテレビに高い評価

米国におけるテレビ番組再送信市場はケーブルテレビ(CATV)事業者と衛星放送事業者が圧倒的なシェアを誇っているが、サービス内容の満足度では電話会社が提供する光ファイバー回線を利用したIP(インターネット・プロトコル)テレビサービスがナンバーワンに挙げられていることが明らかになった。

米調査会社「チェンジウェイブ・リサーチ(ChangeWave Research)」がこのほど発表した調査結果によると、米電話会社大手ベライゾンが提供するIPテレビ「FiOS:ファイオス」加入者の96%が、同サービスに満足していると応え、他サービスの満足度を上回った。2位には衛星放送最大手「ディレクTV」の82%、これにCATVのコムキャスト、電話会社最大手AT&TのIPテレビ「ユーバース(U-verse)」がそれぞれ73%と続いた。同リサーチ社は、「加入者がCATVサービスに予想以上の不満をいだいていることが明らかになった」と指摘している。

近い将来、サービスを変えたいと思っている加入者は全体の13%を占めたが、そのうちの45%がIPテレビに切り替えたいと応えており、IPテレビ人気が浸透し始めていることが分かる。

米国のテレビ番組再送信市場におけるIPテレビは現在1%にもみたない少数派だが、同サービスが提供するIPテレビの画質が優れているという評判に加え、ブロードバンド(高速大容量)通信と固定電話からなる3サービス一括提供(トリプル・プレイ)の内容が充実していると考える利用者が多いようだ。米コンサルティング会社「プライスウォータークーパース(PwC)」では、IPテレビが今後、年間成長率52.5%を示し、2011年までに1,400万世帯が加入すると予測している。
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CNBCがユニークなHD放送へ

米国では2009年2月に設定されている地上波テレビの完全デジタル化に向け、ようやくテレビ局の対応ぶりが目に見える形で出てきた。CNNテレビが9月中旬にHD専門チャンネル立ち上げを発表したばかりだが、今度は人気ビジネス専門チャンネル「CNBC」がHD化案を明らかにした。同局のHDチャンネルは、「CNBC HD+」と名づけられ、今秋に放送開始を目標にしている。当初は「CNN HD」同様、再送信は衛星放送最大手「ディレクTV」に限られるが、同社では「出来るだけ早い時期にケーブルテレビ(CATV)事業者にも再送信を呼びかけたい」としている。

ところで、「CNBC HD+」のHD放送は、「非伝統的でユニークなアプローチ」(CNBCの放送技術・オペレーション担当副社長、スティーブ・ファストック氏)になる模様。同局の担当者によると、16対9の画面にスタジオ部分などの映像は4対3に縮小され、残された部分には高精彩度の3Dグラフィックで金融街の情報やデータなどが挿入されるという。CNBC側は、「我々の視聴者は投資家がほとんど。彼らが求める情報をふんだんに提供することが出来る」と説明している。

4対3の画像部分は現行のスタンダード・デジタル(SD)方式で制作されたものをHD画像(1080i形式)にアップ・コンバートされる予定。本格的なHD放送とは一線を画したものだが、同局関係者は小誌に対し、「スタジオ部分やキャスターをHDで見たい人がどれほどいるだろうか。視聴者が求めているものは、大切なデータなどを分かりやすく、かつ多様に見せることだ」と述べている。ビジネスチャンネルということもあり、合理的かつ現実的な選択と言えそうだ。
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完全デジタル化周知CMが初登場

米国地上波テレビの完全デジタル化に関する周知活動は日本に比べかなり遅れている感があるが、視聴者向けの本格的なキャンペーンを開始するテレビ局が現れた。スペイン語専門局最大手「ユニビジョン」は10月1日、「2009年2月17日をもってアナログ波が停止され完全デジタル化に移行することを周知させるための公共広告(PA)の放送を始める」と発表した。

地上波ネットワークとしては初名乗り。同ネットワークの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるジョー・ウヴァ氏は、「デジタル化がヒスパニック系市民に与える影響は極めて大きい。テレビ視聴方法がどのように変わるのかなど、ヒスパニック系市民の間に十分な情報がいきわたるようにしたい」と語っている。

ユニビジョンでは「新しい時代:デジタル・テレビジョン」と題したPAを30秒CMの形で放送するほか、同局が運営するラジオ局やホームページなどを使ってデジタル化への備えを訴えるほか、ホットラインを設置して生活者からの疑問などに応えるという。

全米放送事業者協会(NAB)の調査(2005年)によると、全米人口の約13%を占め、米国最大のマイノリティーとなっているヒスパニック系市民(スペイン語系アメリカ人)世帯の28%が直接受信世帯となっており、「市民教育を怠れば消費者にとって“テレビが見られなくなる大惨事”になることは間違いない」(ヒスパニック系市民団体)などと懸念の声が広がっていた。

ユニビジョンのライバル局「テレムンド」も今月中には同様なPAを放送するとしているほか、地上波ネットワークのほとんどが11月から同様なキャンペーンを開始する予定。米国では完全デジタル化を知らない人が全体の三分の二(米調査会社レイクマン)にも上るという。


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