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米陸軍司令部、19日に座間に新設 周辺首長式典欠席へ

2007年12月10日11時10分

 在日米軍再編の象徴と位置づけられてきた米陸軍第1軍団の前方司令部が19日、神奈川県のキャンプ座間(座間市、相模原市)に新設される。後方支援担当の基地に過ぎなかった座間は、アジア・太平洋地域を責任地域とする第1軍団の前方拠点へと、機能が強化される。だが地元の座間市は「基地の恒久化解消策が示されていない」として反対を続け、座間市を含む周辺首長が当日の記念式典をそろって欠席する見通しだ。

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米陸軍第1軍団の新司令部が発足するキャンプ座間=本社ヘリから

 約235ヘクタールのキャンプ座間には現在、在日米陸軍司令部があり、1千数百人が勤務する。主な業務は物資補給や保管、修理などとされてきた。

 一方、有事には10万人を超す大規模部隊にふくらむ第1軍団は、冷戦時代から朝鮮半島や台湾海峡ににらみをきかせる実力部隊。イラクやアフガニスタンにも主力部隊が派遣されている。

 今回、第1軍団の司令部そのものは米西海岸ワシントン州に残るが、座間の前方司令部は、海空軍も含めた統合任務にあたる極東の拠点になる。在日米陸軍司令官のパーキンズ少将が指揮する予定で、約30人の要員で発足、08年9月末には約90人になる見通しだ。

 在日米陸軍司令部日米防衛政策調整部長のクレッグ・アゲナ大佐によると、さらに14年までに軍団司令部の本体機能を移すことも目標とされているという。いずれ約300人が移るとみられる。日米安全保障条約の枠を超える強化につながりかねないが、同大佐は「世界情勢に左右される」とし、南関東防衛局の斉藤敏夫局長は「前方司令部の創設としか聞いていない」と否定。座間が将来どんな位置づけになるかは不透明だ。

 陸上自衛隊の中でテロに即応する中央即応集団司令部も、12年度までに朝霞駐屯地(東京都、埼玉県)からキャンプ座間に移って来ることが決まり、「日米司令部連携の象徴」とも言われる。

 だが、地元の座間市は米軍基地の拡張策ばかりが示され、恒久化解消策が示されないとして、前方司令部設置に反対を続ける。同市は米軍再編に理解を示す自治体に政府が配る「再編交付金」の対象からも外された。理由の説明を求めた星野勝司市長に、防衛省は「移転反対」の垂れ幕が市役所前に掲げられていることを挙げたという。

 座間市は「今の状態で出席は好ましくない」として、19日の式典に星野市長を始め、議長、職員まで全員が欠席を表明した。このほか松沢成文知事、キャンプ座間の関係で交付金が支給される相模原市を含む周辺6市長も「公務」を理由に欠席の予定だ。市長の一人は「地元市長が反対している中で出席は出来ない」と明かした。

 防衛省幹部は「(欠席は)それぞれの判断で、国がとやかく言う立場にはない」としている。

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