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朝、
風邪気味の息子を柏の葉キャンパス駅まで送って行く途中、 若柴交差点が大渋滞であった。 仕方なく公設市場の場内に入って突っ切る作戦を実行したのだが、 前方を車台に積まれて曳航される真っ黒な酸素魚雷2本が横切った。 駆逐艦用の短魚雷かと思ったのだが、 後ろの席で息子は 「 うわっ、 まぐろだ・・ 」、と。 真っ黒いでっかい魚雷の正体は紛れもない、くろまぐろであった。 市場の中は白菜の束や大根を積んだフォークリフトが縦横無尽に走り回っている。 朝から活気があるものだ。
駅前は
マンション建築現場に材料を納入する大型トラックで道路は満杯だ。 交差点から駅前までトラックが片側1車線がびっしり止まって、 現場への納入順番を待っている。 おかげで国道16号から駅を目指す路線バスが右折出来ないで困っていた。 高層マンションが同時に2棟も建築しているのだが、 モデルルームを見るとどれもこれもが材料費をとことんケチった安物ばかりだ。 合板を張り合わせた軽くて薄っぺらな建具、 大理石ふう、のシステムキッチンは人造大理石という大量生産の安物だ。 床板は合板張り合わせ、 幅木も木製ふうプラスチックで、 どれをとっても 「
バーゲン安物 」 価格である。 やたらはっきりした風合いが一層安普請に見せるのだが、 こんなマンションに喜んでローンを払い続ける若者も可哀想である。 3千万円代から8千万円代という高飛車な価格設定は、 マンション業者のぼろ儲けだ。 はっきり言って価格ほどの価値はない。 適正価格は良くても2千万円だ。 住居が3階だろうと30階だろうと関係は全く無い。 そんないい加減な
買い物の最右翼が
新築マンションである。 素人は喜んで買うのだが、 実は8千万円の価値の根拠はどこにもない。
昼になって国道6号を
ポルシェで走っていたら、 後方から真っ黒い物体が接近してきた。 デカいマスクに高い車高。 バックミラーごしに、みるみる拡大された黒い物体は、 周囲の
ミニバンを蹴散らしてポルシェのすぐ後方についた。 不細工な格好はVW・トウアレグ。 この程度の車は流行にのった雑魚だから 「 関係ねえな 」 と無視して走っていたら、 後方ピッタリついた真っ黒いトウアレグがいきなり右車線に出てポルシェに並びかけて、 ポルシェが抜かされた。
まずいわな、こんな状況では。 周囲にしめしがつかないということだ。 VWあたりに目くじらたててもしょうがないのだが、 ここは教育的指導をトウアレグに与えなければ後方を走るアルファードも納得しないんじゃないかな。 シフトダウンするまでもなく、 5速70キロからちょっとアクセルを踏んだら、 勝手に4速にシフトダウンされて、 韋駄天の如く黒い物体を瞬時に追い抜いて、そのまま行ったっきりで誰もついてこれない。 まあ、 ほんのお遊びということで、 2速までギアーを
落として猛烈な高周波を国道に撒き散らしながら、 急速なエンジンブレーキで次の信号で停車した。
そんなお遊びに触発されたのか、 今度はまっ黄色のRX-7が後方に待機している。 RX-7は
マツダが庶民に贈るバリバリのスポーツカーだ。 形格好もレーシングカー並の低い車体で、 その割りに911並に屋根のタッパがあるので意外に居住性は良い。 ヘッドクリアランスは十分だから運転姿勢があまり犠牲にされないのは、この車の長所である。 しっかりと確保される車内空間は、狭いスポーツカーこそ必要なのだ。 そうでなければ高性能なスポーツカーを安心して運転することはできない。 その点ではNSXよりRX-7のほうがまともであろう。 そんなRX-7の室内はそれでも低くて窓が小さいので閉塞感や圧迫感が感じられるのはいたしかたない。
黒い物体は雑魚であったが、 今度の黄色は相手がちがう。 シーケンシャル・ツインターボのRX-7、 気合をいれて初速から全開走行でもセブンのタービン過給にどこまで持ちこたえる事が出来るか正直、自然吸気のボクスターでは勝ち目はないだろう。 出来るだけ初速でリードを奪えば、セブンの操縦者は諦めてくれるかもしれないとも思う。 全ては2速全開にかかっている。
信号が青に変わり、 一気に2速で弾丸のようにポルシェは突っ走る。 80、90、110とデジタルメーターがスピードを刻んでゆくと思う、 実際は回転計の赤い針しか見てはいない。 6000、6500、そこで3速にシフトした時にはまっ黄色のRX-7がポルシェのケツを捉えにかかった。
並んだ、思ってセブンの操縦席をちらっとみたら、 なんと若い
女の子である。 あーっ、 もういいや。 レデイファーストで行こうと思ったらセブンはポルシェを抜かないで、 なぜか急減速してすぐ後ろに車線を変更している。 ほどなく次の赤信号で停車してバックミラーで後方のまっ黄色のRX−7を見てみたら、 ロングヘアーの女の子。 それから真っ赤なポルシェとまっ黄色なRX-7は適度な速度でしばらく並んで走った。
黄色いセブンはその先で国道を右折して手賀沼方面に走り去って行った。 右折してゆくピッカピかのセブンの後方車体はノーマルの小さめのウイングで、 改造は一切していない。 まれに見るノーマル車体のマツダの黄色い勇姿。 この車のふところの深さにただただ脱帽であった。 敵に塩を送るこの車の実力はやはりすごいものがある。 小さくなって走り去る黄色い車体に敬意を表し、 どうか安全に、と。 さらばRX-7、 この黄色い車体は間違いなく世界一なのだ。