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日本橋:「お江戸」売り物、今「昭和」 にぎわい戻るか

日本橋=2007年11月20日午後2時57分、遠藤拓撮影
日本橋=2007年11月20日午後2時57分、遠藤拓撮影

 かつて五街道の起点だった東京・日本橋。最近では映画の顔になったり、時の首相が「上を走る高速道路を移そう」と気炎を上げたり、何かと話題に事欠かない。都心の再開発ラッシュの中で、どちらかといえば影が薄かった日本橋。往時のにぎわいは戻るのか?【遠藤拓】

 ●昭和ブーム

 上映中の映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」には、1959(昭和34)年当時の、首都高速のない日本橋が登場する。日本橋周辺の商店街では、映画をきっかけに「ALWAYS日本橋」と題し、昭和を懐かしむイベントを始めた。昭和メニューの復刻やスタンプラリーなど。これまで「江戸」が売り物だった日本橋は今、「昭和」ブームに包まれている。

 当初、地元商店街の中には昭和ブームを敬遠する声もあったが、プロモーションを引き受けた三井不動産(本社・日本橋)の中川俊広・日本橋街づくり推進部長(50)は「逆にブームにのっかるぐらいがいい。冷やかしの人は定着しないが、お客さんとして残る場合もあるから」とまとめたという。

 歴史的に三井グループの本拠として発展してきた。街としての気位が高く、PRが下手だった日本橋の商店街が外向けのキャンペーンをするのは事実上、初めてだ。

 ●「小泉構想」

 「続-」で日本橋が登場した背景には、「高速道路を移そう」と言った小泉純一郎元首相の一声があった。「話を聞いて日本橋は(前作の)東京タワーに代わるキービジュアルになると思った。空の見える日本橋をぜひ映像にしたかった」。映画のエグゼクティブプロデューサー、阿部秀司さん(58)は打ち明ける。

 元首相の私的懇談会「日本橋川に空を取り戻す会」が首都高を地下にとの報告書を出したのは06年9月。その後、政権は2度代わり、政治の後ろ盾は失われつつある。それでも「名橋『日本橋』保存会」の永森昭紀事務局長(65)は「そりゃあ、政治の側にも関心があった方がいいが、仮に首都高を埋設するにしても、地元での話し合いは欠かせません。10年以上の時間がかかる話です」。

 周辺は現在、古いビルの建て替え時期でもあり、首都高の行方もにらんだ街づくりが課題だ。「どうすれば400年の伝統にふさわしい街をつくれるのか。新しい街には負けられません」

 ●競争と共存と

 日本橋周辺は今、再開発ラッシュだ。南西約600メートルのJR東京駅八重洲口には11月、南北二つの「グラントウキョウタワー」が完成。徒歩圏内である丸の内や有楽町にも今年、「サピアタワー」や「新丸の内ビル」「マロニエゲート」「有楽町イトシア」などが相次いで建った。日本橋でも三越本店が09年までに全面改装する。

 一方で、共存を探る動きもある。「日本橋-銀座の周辺には劇場も老舗も歴史資源もある。それぞれの街を回遊すれば、相乗効果で人の往来も増す。都市観光の街として総合的な魅力をアピールすべきだ」。NPO・大丸有(大手町、丸の内、有楽町)エリアマネジメント協会の金城敦彦事務局長(45)の思いだ。周辺にシャトルバスを走らせる構想も持ち上がる。

毎日新聞 2007年12月8日 11時44分 (最終更新時間 12月8日 13時31分)

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