ワシントン(CNN) CIA(米中央情報局)が02年に拘束した国際テロ組織アルカイダ幹部らに対する尋問を記録したテープが、「情報価値がなくなった」などとして05年に処分されていたことが分かった。CIAのヘイデン長官が同局職員への書簡で明かし、CNNがこれを入手した。
政府当局者の話によると、問題のテープに記録されていたのは、02年に拘束されたアブ・ズバイダ容疑者ら2人の尋問。長官によれば、ズバイダ容疑者は当初、CIAの尋問に対して反抗的な態度を取り、情報を提供しようとしなかったため、「通常とは違う手段が必要になった」という。
CIAは「特別な尋問方法」を考案し、司法省などの承認を得たうえでこれを実行。「合法性を確認」するため、テープに記録した。03年には法務、監察当局がこのテープを調べ、合法的な尋問だったとの判断を下したという。この中には、容疑者に大量の水を浴びせ、おぼれるような恐怖感を与える尋問方法などが含まれていたとされる。
ヘイデン長官は書簡の中で、「尋問の内容はすでに文書化され、テープには価値がなくなっていた。また流出した場合には、尋問にかかわったCIA職員の身元が漏れ、アルカイダの標的になる恐れもあった」と、処分の理由を説明。「すべては合法的な手続きだった」としたうえで、「将来誤解を招くことのないよう、ここで背景を説明しておく」と述べている。
ズバイダ容疑者の拘束と尋問については、ブッシュ米大統領が06年、テロ容疑者を裁く特別軍事法廷設置に関する演説の中で明らかにし、同容疑者からの情報は同時多発テロ首謀者の追跡などに役立ったと説明していた。