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共産、協調路線で存在感 選挙戦術転換も影響

2007年12月06日20時57分

 「たしかな野党」からの脱却――。共産党が独自路線を転換しようとしている。反対政党のイメージを抑えつつ、逆転国会を舞台に自民、民主両党間の橋渡し役に名乗り出るなど、協調路線に踏み込んだ。政権交代が現実味を帯びる中、国会、選挙戦術を通じて党の存在感を高める「たしかな答え」を探しはじめている。

 「国民要求の実現のための役割を果たす。世論を獲得しないと政治は動かせない。政党間の働きかけもやっていく」。志位委員長は10月、逆転国会での与野党の「法案つぶし合い」に懸念を示し、「橋渡し役」が今国会のテーマの一つとの見方を示した。

 その成果の一つと自認するのが、11月に成立した改正被災者生活再建支援法だ。共産党が「一歩でも二歩でも前に進める」(志位氏)として、早い段階から与野党協議を各党に要請していた。実際には、与党と民主党が協議して共同提案にこぎつけたが、民主党幹部は「共産党に先を越された」と共産党の果たした役割も評価した。

 政治資金の透明化論議でも「協議の中で合理的な一致点が確認できればいい」(志位氏)と政党間協議に積極的に参加。最終的に合意内容には反対したが、決着することは妨げなかった。

 「協調」を加味した「ニュー独自路線」を模索するのは、危機感の表れでもある。衆院の議席は、小選挙区制が始まった96年の26議席から9議席に減少。国会で存在感を示すことができないと、次の総選挙も苦戦は避けられない。

 国会に先立ち、選挙戦術で手を打った。9月、財政事情を理由に「全小選挙区で擁立」という基本方針を転換し、候補者数を絞ることを決定。今のところ小選挙区の立候補予定者は115人で、志位氏は6日の会見で「擁立の計画は140ぐらい」と述べた。

 それが、埋没回避にも効果を生んでいる。空白区での共産票の行方に注目が集まり、「結果的に民主、自民に影響力を行使できる」(党幹部)。国会運営で配慮を引き出せるというわけだ。

 額賀財務相の証人喚問の中止をめぐっては、議決賛成を「間違いだった」と自己批判。「選挙のこともある。共産党の言うことに耳を傾けなくてはいけない」(民主党国対幹部)と、結果的に民主党に引導を渡した格好になった。

 共産党の振る舞いが政局を左右する可能性もある。市田忠義書記局長は「民主党が反自公の姿勢を示す限り一致点では協力する」と語り、野党共闘に軸を置く姿勢を崩していない。総選挙で民主党が過半数に満たない第一党になった場合を想定して、民主党内からは「共産党の閣外協力」を期待する声も出ている。

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