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東京電力、活断層過小評価 中越沖地震主因の可能性

2007年12月05日21時56分

 東京電力は5日、新潟県の柏崎刈羽原発建設のために70〜80年代に調査した沖合の海底断層について、活断層ではないとしていた当時の評価から一転、活断層だったことを認め、その長さも実際には約3倍であることを明らかにした。この日開かれた経済産業省の総合資源エネルギー調査会作業部会で報告した。この活断層は新潟県中越沖地震を引き起こした可能性が指摘されている。東電は、評価し直した結果でも「耐震設計の想定内」としているが、中越沖地震では想定を超える揺れが原発を襲った。設計当時の東電の評価や国の審査が適切だったか、議論を呼びそうだ。

 問題の断層は原発から北西に19キロ離れた海底断層。東電は、原発建設のため79年から85年にかけて実施した調査で長さ7〜8キロとし、最近動いておらず活断層ではないと評価。原発の耐震設計をする上で、考慮する必要がないと判断していた。国の審査でも、東電の評価が妥当との判断を示していた。

 また、03年にこれまでの調査結果から地層のゆがみなどを再評価、従来より長い20キロとし、活断層である可能性を認識していたことも明らかにした。それでも、設計の想定内の地震の揺れに収まるとし、これまで公表していなかった。

 今回、中越沖地震を受けて、東電は周辺の海域を従来より深い範囲まで再調査し、評価しなおした。その結果、この断層が活断層であると断定。改めて、断層の長さも20キロに及ぶことを確認したという。

 記者会見した、東電原子力設備管理部の酒井俊朗マネジャーは「活断層ではないとしたのは、設計当時の知見からは妥当な評価だった」と話している。

 原子力安全・保安院原子力発電安全審査課の森山善範課長は「現在の知見からいえば、当時の評価は甘かったといえる。今後、東電からの報告を厳しく審査したい」と話している。

 一方、中越沖地震を受けて、設計時の東電の調査資料を検証した広島工業大の中田高教授(地形学)は「東電自身の調査で過小評価が裏付けられた格好だ。当時の調査だけでも20キロ程度の活断層と評価できたはずで、建設時に対策をとれたはずだ」と指摘している。

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