現在位置:asahi.com>サイエンス> 記事

ティラノサウルスより速く走る草食恐竜 化石から判明

2007年12月05日09時54分

 約6700万年前の白亜紀後期に生きた草食恐竜ハドロサウルスの「ミイラ」が米国で見つかった。化石には通常、骨格しか残らないが、この標本は状態が良く、うろこ状の皮膚の模様が残っており、皮膚や関節の靱帯(じんたい)、腱(けん)など軟らかい組織も確認された。米ナショナルジオグラフィック協会が3日、発表した。

写真

ハドロサウルスの化石の皮膚の模様。うろこのように見える。物差しの大きな目盛りが1センチ=米ナショナルジオグラフィック協会提供、AP

図

ハドロサウルスの想像図=米ナショナル・ジオグラフィック協会提供、AP

 この標本は米ノースダコタ州で99年に見つかり、「ダコタ」と名付けられていた。英マンチェスター大などのチームが世界最大のコンピューター断層撮影(CT)装置で分析し、軟らかい組織の存在を確認した。軟らかい組織が微生物によって分解される前に、化石化する条件がたまたま整っていたらしい。

 ダコタは体長10メートル以上。チームは靱帯や腱の様子から筋肉量も推定し、ハドロサウルスの走る速さを最高時速45キロと見積もった。そのころ地上最強を誇った肉食恐竜ティラノサウルスの推定速度を10キロ程度上回り、チームはAP通信に「トリケラトプスのような角を持っておらず、生き延びるには逃げ回るしかなかったのだろう」と述べている。

PR情報

このページのトップに戻る