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豪、元ロック歌手閣僚が注目
先月末の総選挙で11年半ぶりに政権を奪取したオーストラリア労働党のピーター・ギャレット次期環境相(54)が注目を集めている。人気ロックバンドの元ボーカルで反核や環境問題など左派色の強い活動を行ってきたが、主張の“変遷”や失言は元同志らの批判にもさらされている。
ギャレット氏は反核や反米軍基地など政治色の強い歌で人気を集めたロックバンド「ミッドナイト・オイル」で2002年までボーカルを担当。約198センチの長身にスキンヘッド、タコのように手足をくねらせる独特のステージ姿で人気を得た。
シドニー五輪の閉会式では、胸に「ソーリー(ごめんなさい)」と書かれたTシャツを着て登場。先住民に悲惨な生活を強いた「過去」への謝罪を拒否するハワード政権を痛烈批判し、“反骨精神”を内外に印象づけた。
転機は2004年の総選挙。2大学で学位を得た能力の高さと人気が労働党幹部の目にとまり、公認候補として当選。昨年末に「影の環境相」にも登用され、ついには環境相の座を射止めた。
ただ、ギャレット氏の政治姿勢には批判も根強い。「労働党ではチームプレーヤーになる」と語るギャレット氏は、反核、反米軍基地の主張を党方針に合わせるように封印し、かつての盟友やバンドの元ファンから批判された。一方で、選挙中に「政権さえ取れれば労働党は公約を変える」と発言、物議を醸した。
揺れ動く“ロック魂”を憂慮してか、ラッド次期首相は国民の関心が高い「気候変動対策」で閣僚ポストを新設。環境相のギャレット氏を、直接の担当から切り離した。