全国学力テストの都道府県別平均正答率で、公立の小学校、中学校いずれも全国で45番目となった大阪府。大きく順位を下げてしまった原因はどこにあるのか。教育関係者の間では、家庭や学校、地域ごとの「学力格差」が拡大し、成績のいい子供とそうでない子供の二極分化が進んでいるとの見方がある。
最も差がついた中学国語Bは、トップの秋田や、富山、福井各県と比べるとマイナス12・0ポイント。全国平均値に最も近かった小学算数Aでも、秋田とマイナス7・9ポイント差となった。
大阪府内の小学校の授業改善計画へのアドバイスなどを行っている三重大学の森脇健夫教授(教育方法学)は、同じ都市部の東京都が小学校で7番目、中学校で30番目という好結果が出たことに着目、「大都市である大阪の中で新たな学力格差が生じている」とみる。
そのうえで「都市部の子供の成績がよく、地方はよくないというのが一般的な学力格差の構造だった。しかし、今回の大阪の結果はこれに当てはまらない。家庭ごとの経済格差が拡大し、子供たちの学力を左右しているのではないか。家庭状況なども合わせて調査し、分析する必要がある」と指摘した。
大阪府を中心に全国約120の学習塾を展開する「第一ゼミナール」企画情報室の鎌田誠次長は、大阪は地域によって教育の熱心さにばらつきが大きいという。
「学力の高い地域が他の地域に足を引っ張られた可能性がある。隣の京都府には教育熱心な地域が多くあるため、比較的いい結果が出たのではないか」とみる。
大手予備校が集計した大学入試センター試験の都道府県別の成績に着目するのは青森中央学院大学の竹中司郎准教授(学校教育)。
今年の大学入試センター試験の大阪府の平均点は608・3点(5教科900点集計)で、全国平均の577・1点を大きく上回っていた。竹中准教授は「大阪の上位層の成績は悪くないはずだ。今回のテストの結果には、学級崩壊状態の学校があることも影響しているのかもしれない」との見方を示す。
このような意見に対し、大阪府教委小中学校課の藤村裕爾課長は「現時点で、学力テストの結果を受け、課題を抱えた地域への支援を厚くしていくといったことは考えていない。経済的な格差などについても分析できる資料がない。あくまで学校教育の課題として受け止める」と話している。
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(2007/10/25 8:16)
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