世界から注目される「日本型食生活」

「日本型食生活」が、近年世界中から注目されていることをご存じですか? 核家族化が進む中で、伝統的な日本の食事は、次の世代に受け継がれていません。私など、娘がアトピーになって、「和食がいいよ」と聞いた時、思い浮かんだのは、「すき焼き」「トンカツ」でした(トホホ)。ここで、改めて日本人が何を食べていたのか、またどの時代の日本型食生活がよいのかを見直してみましょう。

なぜ「日本の食事」が注目されているのでしょうか。
1977年にアメリカ合衆国でマクガバン・レポートが発表されました。当時アメリカでは、肥満や生活習慣病(ガンや糖尿病・心臓病など。以前は成人病と呼ばれたが改名された)が多発。それにより医療費が増大したことに頭を痛め、「栄養と人間に必要とされているものについての特別委員会」が設立されました。その委員長がジョ−ジ・マクガバン上院議院で、委員会は2年間にわたり各国の食生活や栄養状態を調査。「合衆国の食事の目標」と題した栄養的な指針とともに、5000ページにわたる記録を発表したそうです。

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そのレポートでは、「生活習慣病の多発は、現代のまちがった食生活が原因であること」が指摘され、「脂肪や精製・加工した糖分を減らし、炭水化物(デンプン質)を増やすこと」を食事の目標としていました。

このレポートは、賛否両論ありましたが、大きな反響を呼び、それ以後ヨーロッパでも、同じような調査が行われ、同様の勧告を出しています。このようないくつかの調査の中で、1960年頃の日本人の食事は、摂取エネルギー中の脂肪の比率が低く炭水化物の比率が高く、理想に近いものと報告されています。

豊かになると脂肪の摂取が増えてしまいます。
日本では「マクガバン・レポート」や他の調査はあまり浸透することなく、その後経済成長期を迎え、日本人の食生活は洋風化し、脂肪を多く摂取するようになってしまいました。

もともと欧米でも伝統的な食事は植物性食品が主体で、今日のように肉を多く食べるようになったのは、19世紀の後半と言われています。また寒さの厳しい気候風土のドイツなどの北欧では、野菜や穀物に恵まれず、草を牛に食べさせて、その肉や乳から栄養をとっていました。しかし彼らは、肉だけでなく、内臓、血までソーセージに加工するなど工夫して、あますことなく食べつくします。だからこそ、ビタミンやミネラルなど栄養をかたよることなく摂取できたのです。そして彼らは、何百年という時間をかけて肉を中心とした食生活に体がなじんでいます。

しかし日本人のように肉食の歴史が浅い人種が、しかもロースやヒレなど、片寄った部位だけを食べると脂肪過多になってコレステロールがたまったり、アレルギーをおこすのだと言われています。

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日本を初めアメリカ、ヨーロッパなどの先進国では、歴史的に見て経済的に豊かになると、肉の消費が多くなり、生活習慣病が増えてしまう傾向があります。様々な研究から、カラダにトラブルをおこさない脂肪(卵、乳製品などの動物性食品を含む)の比率は、食事の20%までと言われ、これは欧米の伝統的な食事の比率、また昭和45〜46年頃の日本人の食事の肉の消費量にほぼ等しいそうです。