リトバルスキー監督を囲むアビスパ選手たち
すべては勝つため。アビスパが予想をはるかに上回る大量リストラに踏み切った。昨季の戦力外通告はFW薮田、DF平島、FWバロンらわずか6人。それが今季は、30人いたメンバーの半数に当たる大量15人(期限付き移籍のFW長谷川は柏に復帰)を“クビ”にする大粛正だ。
J1復帰どころか、きょう1日の最終鳥栖戦を前に7位が確定した福岡。来季のJ1復帰にかけるため、大幅な血の入れ替えが必要との判断だったのだろう。来季構想から外れたDF川島のほか、DFチェッコリ、選手会長のMF山形恭、今季チーム2位の16ゴールを挙げたリンコンでさえ、来季はアビスパのユニホームを着ることが許されない。
生え抜きで2003年に11ゴールを放ったFW林も対象だ。鳥栖戦に先発する博多の大砲はこの日、「6年間もいたのでゴールを決めたい」と気丈にラストゴールを誓った。福岡ユース出身のMF多久島にいたってはわずか2年での戦力外。「しょうがないです。トライアウト? 受けようと思っています」と新たな活躍の場を求めて動くという。
一方、MF山形恭は怒りの大演説をぶち上げた。04年に加入し通算100試合以上に出場。今季も37試合にピッチに立って3ゴール。「まさか!? って感じですよ。いい成績を出せたし」。山形恭の怒りのオンパレードはこれだけでは終わらない。「ここは(施設面の)ハードはあるのに人材といったソフト面はない」とクラブに痛烈な批判を展開した。
対象選手、サポーターの怒りは免れない今回の大リストラ。それでも思い切って断行した背景には、リトバルスキー監督の不退転の決意がある。「解雇通告は心が痛む。でも、今季は戦える選手が10数人しかいなかった。来季は20人以上ほしい」。昨季は編成が遅れ、自ら描いたチームがつくれなかった。来季、その二の舞いを踏むわけにはいかない。
J1柏に移籍するMFアレックスまで加えると、計16人が一気にチームを離れる。来季は「25-26人と少数精鋭で挑みたい」とリトバルスキー監督。来季こそJ1へ。大目標を掲げる新生アビスパ構築へ、まずは「戦えるあと10人」の選手補強が急務となった。 (山上武雄)
=2007/12/01付 西日本スポーツ=