【カラカス庭田学】ベネズエラで12月2日、憲法改正を問う国民投票が実施される。急進左派のチャベス大統領が提案したもので、改正案には「社会主義」の言葉を随所に盛り込み「反帝国主義」もうたった。社会主義国家建設を目指す急進的な内容に反発も強まっており、改憲反対派は29日、首都カラカスで数十万人規模の集会を開き「改憲にノー」と繰り返した。
改正案には「社会主義」が12カ所盛り込まれた。経済分野では「社会主義経済建設のため」の国家の役割を強調、現行憲法にある「誰でも自由な経済活動ができる」とする規定を削除している。また、中央銀行の行政府からの独立を規定した一文を削除、「自立性はない」と明文化した。
さらに、「地域共同体は社会主義国家と不可分」と規定。教育分野では「国は社会主義のヒューマニズムの原則により予算を支出」するとしている。外交に関しては「いかなる帝国主義、植民地主義の権力にも拘束されない」などとした一文を追加。軍についても「反帝国主義の組織」との定義が加わっている。
大統領権限が強化されるのも特徴で、任期は現行の6年から7年に延長し、1回の再選しか認めない現在の規定を削除し、無期限再選を可能にしている。99年に就任したチャベス大統領は、「2021年まで職務を務める」と公言している。
反対派は改憲により、言論の自由や私有財産が奪われるなどと主張。学生運動のリーダーの一人、フレディ・ゲバラさんは29日の集会演説で「国民は全体主義にノーと言っている。民主主義のために『ノー』を投票しよう」と呼びかけた。
毎日新聞 2007年11月30日 10時52分 (最終更新時間 11月30日 11時59分)
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