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コンサドーレ 戦力アップへ人件費増2004年12月06日 「J1定着」と「黒字体質」を最終目標にして、5段階計画を立てたサッカーJ2のコンサドーレ札幌は今季、最初のステップを歩み始めた。計画の進行ぶりについて、チームの戦力と、運営会社・北海道フットボールクラブ(HFC)の経営状況を振り返った。 5段階計画の「ステップ1」の目標は「スリムな経営体質」「若手中心の選手構成によるチームのベース作り」だ。 まず戦力面では、平均年齢22歳と若返った選手個々の実力の向上から始まった。 個人からグループ、そしてチーム全体へと力を付ける第一歩。DF陣の軸として奮闘した曽田雄志は「力負けしている時も守れるようになった。リベロ(3バックの中央)を初めて経験し、個人としては充実感のある一年だった」と話す。 今季のホーム最終戦を終えた札幌の選手ら=11月23日、札幌ドームで、宍倉優二撮影 経験を積んで個々の選手が伸びた部分はある。だが最下位に沈んだ。その原因は選手のプロ意識が低く、成長が遅かったためだろう。 柳下正明監督は7月、「試合に出ただけで満足する選手がいる」と言い放った。8月に酒気帯び運転と規律違反で2選手が解雇された。「若手がてんぐになったら、その鼻を折っての繰り返し」という柳下監督の苦言は、シーズン終盤になっても絶えなかった。 戦術といったうわべの事でなく、選手の自覚不足が課題だ。経験を積めば解決するものでもない。「監督の指導の届かない範囲のこと。自分たちがしっかり考えなきゃいけない部分」(曽田)だ。 経営面では、コストダウンに成功した。チームの若返りを図り、高額な外国籍選手を入れず、人件費を抑えるなどした。昨年度支出の3分の1に当たる約6億1500万円を削減した。 収入では、年間観客数を15万人で入場料収入を3億1千万円と見込んだが、実際には約20万8千人で約3億7千万円。そのほかにも、低めに見込んだ予算を上回る項目があった。 トータルで昨年度決算の約1億9千万円の赤字から、今年度決算見込みは約2億8千万円の黒字。「ステップ1」の目標の「最小コストの経営」のベースはできた。 だが不安定な要素もある。黒字のうち約2億円は、FC東京に移籍した今野泰幸の移籍金で、一時的収入だ。 また広告料収入は今年度決算見込みの4億1千万円から来年度は「今年度並みなら御の字」と佐々木利幸HFC社長。最下位では広告効果は小さく、現状のスポンサー企業をつなぎ留めるのに精いっぱいだ。 その中で来シーズンは、前進を選んだ。「戦力も収支もステップ2へ」(佐々木社長)という判断の下、選手等の人件費を今年度決算見込みの3億2千万円から、来年度は4億3千万円に増やし、戦力補強を図る。 支出が増える分は、入場料収入増で補う。来年度の目標は万人で、4億5千万円。厚別公園競技場の倍の入場者数の実績がある札幌ドームの試合を8から12に増やすなどで、今年度実績から約4万2千人増を目指す。 それでも現時点でHFCが計算する来年度予算は、総収入13億5千5百万円、総支出13億8千5百万円で赤字だ。収支の良化には、一層の努力が必要だ。 佐々木社長は「サポーターやスポンサーからのお金は、税金よりも重いもの」と感じている。限られた収入と戦力で、5段階計画は次のステップに進めるか。正念場は来季も続く。 (スポーツライター 永井謙一郎) マイタウン北海道
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