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生活保護の減額容認 厚労省検討会「低所得世帯上回る」

2007年11月30日08時23分

 生活保護の支給基準の見直しを行う厚生労働省の検討会の報告書案が29日、明らかになった。低所得世帯の消費支出に比べ、生活保護世帯が受け取っている食費や光熱水費などの生活費(生活扶助)の額の方が高くなっていると指摘。厚労省に対して「基準の見直しには報告書の評価・検証の結果を参考とするよう期待する」とし、支給引き下げを事実上認める内容になっている。

 有識者による「生活扶助基準に関する検討会」の30日の会合に提出される。厚労省は見直しについて「可能であれば、来年度予算編成で対応したい」として、来年4月からの引き下げを視野に検討に入る。だが、保護基準は最低限度の生活に必要な費用を示すもので、その切り下げは受給の打ち切りや、生活保護との整合性に配慮するとされた最低賃金の底上げに逆行するなど影響が大きく、厚労省も慎重な判断が求められそうだ。

 報告書案は、生活保護の支給額が高すぎると国民の公平感が損なわれるとの観点から、生活保護費の中の生活扶助について、全国消費実態調査(04年)をもとに検討。全世帯で収入が下から1割にあたる低所得世帯の生活費との比較が妥当だと明記した。

 その結果、夫婦と子の3人世帯の場合、低所得世帯の生活費が月14万8781円に対し、生活保護世帯の生活扶助費は平均15万408円と、約1600円高かった。60歳以上の単身世帯は、低所得者6万2831円に対し、生活扶助費は8000円以上高い7万1209円だった、とした。

 また、地域の物価水準の違いなどから、都市部の基準額を地方よりも最大22.5%高くしている現行制度について「地域間の消費水準の差は縮小している」と指摘した。

 このほか、基準額の決め方を、夫婦と子の3人世帯を標準とする現行方式に対して、単身を標準とする方式を提言している。

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