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教員免許更新制 現場に戸惑いと不満 「導入ありき」に疑問相次ぐ (1/2ページ)
平成21年度に導入される教員免許更新制に、現場の教員の間に疑問や不満が広まっている。10年ごとの更新時講習は、初めに導入ありきで決まっただけに意義が十分伝わってない上、具体的な内容が固まっていないからだ。文部科学省は教育関係団体に説明、意見聴取したところ、注文が相次いだ。「屋上屋を架す」ような講習に多忙感が募っている現場が納得するのかと意見も出てきそうだ。(櫛田寿宏)
■かみあわぬ議論
18日、横浜市内で開かれた渡海紀三朗文科相との「国民との対話集会」には現場の教員ら教育関係者が数多く参加した。
横浜市内の小学校教諭は「教師にとって研修は大事なもので日々参加している。更新講習では最新の知識を学ぶというが、これまでも研修で学んできた。これからは10年に1度の研修を待たないと最新の知識は得られなくなるのか」と疑問の声を上げた。別の教師からは「教師の身分にかかわる研修が行われるとなると、安心できなくなり、子供と向き合う時間が一層減る」と指摘する意見も出た。
更新制度の情報の少なさに対する不満もある。熊本県から来たという県教委職員は「大学でやるというが、それ以外でもいいというし、イメージが全くわかない」と戸惑いを隠さない。
これに対し、渡海文科相は「意味のない研修にはしない」などと答えたが議論はかみ合わなかった。
■あいまいな意義
文科省によると、更新講習は主に大学が担当。教員に関係する最新情報を学ぶ「必修」に12時間、課題に合った能力を高める「選択」に18時間を充てる方針だ。
選択では、例えば子供の気持ちを深く理解するために心理学を通じてカウンセリング技術を学んだり、より深みのある科学の授業を行うために科学思想史を学ぶことが想定される。
文科省では「更新講習は授業の質を高めるだけでなく、参加した教員が大学の教員と接点を持ち、良き相談相手と出会う機会にもしたい」としている。
教育再生会議では当初、更新制度を不適格教員排除の手段として提言していた。だが、中教審の審議の中で、教員の資質向上のために「講習で最新の教育事情を学ぶ」としたため、性格があいまいになってしまった。
都内の副校長は、再生会議や中教審の議論を「教員は勉強していないと思っているのではないか。初任者(1年次)、2、3、5、10年次にそれぞれ研修があり、20年次研修も始まった。教科や領域、校務でも研修があり、わずかな更新講習より勉強になる」と憤る。