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経済

親中外交加速する豪新政権 アジアの勢力図塗り替え

11月27日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ


 ■「日本の存在感薄まる」懸念も

 24日に行われたオーストラリア総選挙で政権交代を実現させた労働党の党首、ラッド次期首相による対中経済外交に注目が集まっている。中国語が堪能な外交官の出身という豪州版「チャイナスクール」のラッド氏が経済関係を軸とした親中外交を加速すれば、アジア太平洋地域の経済勢力図が塗り替わるとの指摘もあり、「相対的にアジア地域で日本の存在感が薄まる」(外務省筋)との懸念も出始めている。

 □移民有権者の力

 オーストラリアの選挙管理委員会は26日、ハワード首相が、1974年から議席を維持してきたシドニー北部の下院選挙区で落選したことを公表した。現職首相の落選は同国史上2人目で、約80年ぶり。“刺客”として同選挙区に送り込まれた労働党擁立の元人気女性テレビキャスター、マクシーン・マキュー氏に敗れた。同選挙区は最近の選挙区割り変更で、中国や韓国などアジア系住民の割合が高くなった。

 ハワード首相が「アジア系移民が多すぎる」などと過去に発言したことへの反発や、中国語を話すラッド氏への親近感が影響したとみられる。

 ただ、イラク派遣部隊の一部撤退や京都議定書への批准で保守連合との違いをアピールして勝利した労働党だが、マクロ経済政策では高成長を導いたハワード政権に近い路線をとる見通しだ。

 保守連合は前回2004年10月の総選挙で低金利、低失業率など好調な経済情勢で支持を集め第4次ハワード政権を誕生させたが、今回は経済成長を維持してきた政策手腕を評価してもらえなかった格好。医療や教育の改善策は打ち出したものの経済政策で大差なくして圧勝した新政権で注目されるのが対中政策。

 北京での外交官経験もあり、中国語の堪能なラッド氏による中国重視路線への外交転換を予想する声が広がっている。ラッド氏は外交官を辞した後、米系の会計事務所で中国コンサルタントとして働いた経験もある。

 親中派のラッド政権の誕生で豪中関係が深まるのは確実。急成長を続ける中国と資源国のオーストラリアの蜜月を警戒する声もあがっている。

 □輸出額が急増

 好調なオーストラリア経済を支える「資源ブーム」には資源を爆食し市場価格を押し上げる中国の存在は欠かせない。

 オーストラリアの対中輸出額は2004年の110億豪ドル(約1兆550億円)から06年には204億豪ドルと2倍近い伸びを示し、輸出全体の12・5%を占める存在。

 天然ガスや原子力発電燃料のウランの輸出先として大きな需要のある中国は貿易相手としても重要視せざるを得ない。

 東アジアの経済共同体構想で、東南アジア諸国連合(ASEAN)を核として中国がASEANプラス3(日中韓)を主張するのに対し、肥大化する中国への牽制(けんせい)を狙う日本は、オーストラリアとニュージーランド、インドを加えたASEANプラス6による経済連携を提案している。こうした中で、東アジア経済の主導権争いにもラッド新政権の対中外交方針が影響を及ぼしそうだ。(坂本一之)

最終更新:11月27日8時32分

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