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FNN(フジテレビ系)

沸騰する「中国現代アート」から、中国の実像に迫りました。

沸騰する「中国現代アート」から、中国の実像に迫りました。

2007年3月、ニューヨークで行われたサザビーズのオークションで、張暁剛さんの「三人の同志」という絵が、中国現代アートでは破格の211万2,000ドルで落札され、出展作品中の最高額を記録した。
なぜ、こんなにも中国現代アートが人気なのか。
中国最大のオークション会社「保利」の現代アート担当・黄河さんは「今は、趣味で購入するというより、ほとんどは『投資』目的で作品を買い集めているようですね」と話した。
北京市内から車でおよそ1時間半、人口およそ10万人の宋庄という村がある。
農作物がわずかにとれるだけの貧しい農村だが、6年ほど前から現代アーティストたちが次々と移り住んできて、国内で最も有名な「芸術家村」をつくり上げた。
現代アーティストは「宋庄は、広さの割に家賃が安くて、生活費もあまりかからないんだよ」と話した。
アトリエの家賃は、北京市内のおよそ10分の1で、1,500人を超えるアーティストたちが、切磋琢磨(せっさたくま)をしながら創作活動に励んでいる。
収入の少ない若手のアーティストにとって、宋庄はまさに理想郷ともいえる場所となっている。
中国の改革開放政策の流れとともに、中国現代アートブームは、世界中で高い評価を受けていて、その価格もとどまるところを知らず、上がり続けている。
中国現代アートでチャイニーズドリームを実現しようと意気込む孫齊さん(30)は、自分の作品を売って、もっと大きなアトリエに引っ越したいと考えている。
孫さんは「大きなアトリエを持っていれば、それは絵が売れている証拠になる。アトリエが小さければ、それは才能がないのと一緒なんだよ」と話した。
孫さんは、3年前まで山東省でギャラリーを開いていたが、経営難から倒産し、再起を懸けてこの宋庄に引っ越してきた。
家賃は、年間5,000元(約8万円)と格安で、貧しいながらも売れる作品づくりに毎日精を出している。
そんな孫さんの作品が、初めて北京のオークションにかけられることになった。
今、中国のオークションで最も人気があるのが、孫さんたち宋庄のアーティストの現代アート。
これまでの売上額は、1億元(約16億円)にものぼり、数百万円の作品が飛ぶように売れていく。
彼らの目的は「投資」で、値上がりが期待される作品をいかに安く落札するかが勝負となる。
オークション終盤、いよいよ孫さんの作品が登場したが、買い手がつかず、わずか5秒で終了した。
オークション会社「保利」の黄さんは「知名度の割に、2万2,000元(約35万円)は高すぎたわね」と話した。
孫さんは「(絵は売れませんでしたね?)宋庄に来るアーティストは、みんな夢を持っています。しかし実際には、貧富の差がすごく激しい。現実は厳しいよ」と話した。
現代アートブームで注目を集める宋庄だが、ここ最近、ある異変が起きているという。
地元住民は「(最近の宋庄はどうですか?)すごい変化だよ!」、「(景気はどうですか?)良くなったわ。昔と比べて天と地の差よ」と話した。
村のあちこちで工事が進み、宋庄は今、建設ラッシュの真っただ中にある。
安かった土地の値段もどんどん上がり、3年前と比べて5倍にはね上がるなど、現代アートブームで急激な土地バブルが起きている。
そのため、地元の農民たちとの間で、土地をめぐるトラブルが続発しており、立ち退きを迫られ、アトリエを失うアーティストもいる。
現代アーティストの李玉蘭さんは「(裁判で負けましたが?)もちろん、結果は受け入れられません。ほかに行くところがないから、本当に困っているわ。農民に土地を返してしまったら、どこに住めばいいの?」と話した。
現代アートブームで豊かになった故に、アーティストたちのユートピアが土地バブルにのみ込まれていく。
急速に発展する中国社会の矛盾を映し出しているかのようでもある。
バブルマネーに踊る中国現代アート。
光と影が同時に生み出される中、アーティストは、きょうも夢を追い求め続ける。

[27日0時32分更新]

Fuji News Network.


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