豪総選挙、与党が劣勢 敗北ならイラク撤兵も2007年11月20日01時15分 24日投開票のオーストラリア総選挙は、5期目を目指すジョン・ハワード首相(68)率いる自由党・国民党の保守連合と、11年ぶりの政権奪還を狙う労働党が激しい選挙戦を続けている。首相は経済運営の実績を強調するが、労働党が支持率で10ポイント上回り、政権交代の可能性が高まっている。ブッシュ米大統領の「最後の盟友」となった首相が退陣すれば、豪州のイラク派兵や地球温暖化対策も見直しを迫られる。
シドニー北西にある首相の地元選挙区。ショッピングセンターに構えた首相の選挙事務所前で、Tシャツ姿の男性らが首相に投票しないよう呼びかけていた。 リーダーのジョン・バルダーさん(76)は自由党の元幹部で、首相とは旧知の仲。「イラク侵攻やテロ対策に名を借りた自由の抑圧――豪州は変わってしまった。彼の役目は終わったんだ」 1500人規模を派兵するイラク問題をめぐり、かつての盟友に背を向けられた形だが、主な争点はむしろ減税や雇用法制など内政問題だ。 ハワード首相は総選挙実施を発表した翌10月15日、総額340億豪ドル(約3兆5600億円)の大規模減税を発表、支持率浮上を狙った。首相は「労働党が政権を取れば今の好況は終わる」と危機感をあおる。 だが直後に労働党も同規模の減税策を打ち出し、もくろみは外れた。 豪州経済は、鉄鉱石やウランなどの世界的需要急増で好調が続く。シンクタンクのシドニー・インスティチュートのジェラルド・ヘンダーソン所長は「国民は好調な経済は当然と受け止め、手腕は未知数でも新しいリーダーを待望する雰囲気がある」と指摘する。 その追い風を受けるのが、労働党のケビン・ラッド党首(50)。「豪州には若く、新しい指導者が必要」と訴える。 一方、両陣営が真っ向から対立するのが、イラク問題と地球温暖化対策。ハワード首相が駐留継続と、経済成長と両立できる温暖化対策の枠組みを訴えるのに対し、ラッド党首は段階的撤兵と京都議定書の批准を掲げ、批判層の取り込みを図っている。
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