8月に初めて訪れた「オットッキー宇宙センター」(以下、宇宙センター)を再度訪れたのは11月の初めだった。
前回、宇宙センターのヤン・テヒョック本部長(以下ヤン本部長)にお会いした時にも、「今後、日本を始めとしたアジア諸国との学生交流をこの宇宙センターでしていきたい」という相談を受けたことがあった。 特に、修学旅行で日本から韓国を訪れる学生が多いことから、修学旅行のついでにでもソウルからおよそ1時間前後と近い位置にある江華島に是非訪れてほしいという願いがあるようだった。それで、まずは写真や動画を撮影して紹介してみようということになった。 ちなみに「オットッキー」とは月にいるウサギのことを意味するらしく、イメージキャラクターになった未来型ウサギ達「コース&モプ」のキャラクター商品も開発されている(参照:オーマイニュース掲載記事)。 車道からはロボット? が目印になって建築準備中から何が出来るのか気になっていた。(撮影:山田貴子) 続いては職員のジョン・カンテック代理(以下ジョン代理)が付いて説明してくれているのだが、「ドン! ドン!」と言う雑音がうるさいのが気になった。実はこれは空気圧を利用した手動ロケットを子供達が面白がってかなり長い時間操作しているからだ。そして各国のロケットの模型などを見ていくと、「3D映像館」が見られたが上映時間ではなかったため通過した。 ジョン代理の説明が力強くなっているのは韓国政府が独自の衛星発射場として朝鮮半島南端の全羅南道高興郡外羅老島に建設中の韓国初の「宇宙センター」の模型で、今年末に完成予定であったが、建設やロケット開発の遅れなどから来年の完成が見込まれているようだ。 また実際の宇宙生活に必要な生活道具(運動機具、無重力用トイレ、シャワー、寝袋など)が展示されている。ロケット操縦室の模型、無重力体験シミュレーション装置などを始め、実際に乗ったり座ったりして体感できるものもある。撮影はしなかったが別室には直接NASAから買い寄せた「宇宙生活用品、部品などの展示室」もあった。 一通り説明を聞いて展望台から外を見ると、既に秋が終わりつつある景色が広がる。秋のイベントの「菊祭り」フェアのため設置された色とりどりの菊花も色あせていた。夏はプールとして開放されていた水泳場だったが、これからは12月に向けて「雪ソリ・スケート場」として変身する予定だ。 「オットッキー宇宙センター」設立の背景 前回、宇宙センターを訪れた時にヤン本部長が「未来の宇宙開発を担う子供達のために宇宙への夢の種を植えてあげたい!」という動機で同センターが設立されたという一言が印象的だった。 実際に韓国では、2001年に制定した「科学技術基本計画」(PDF書類)において、将来有望な新技術6分野の一つとして宇宙航空技術を選定(その他は情報技術、生命工学技術、ナノテクノロジー、環境技術、文化技術)し、重要技術課題に対する戦略的研究開発投資を行い、宇宙の分野でもアジアの中で存在感を現し始めている。 そして2006年の12月末には韓国人初の宇宙飛行士の最終候補者が決定した。8カ月間の審査を経て3万6206名の志願者の中から選ばれた韓国初の宇宙飛行士最終候補者の2名が発表された。最終候補に選抜された2名はいずれも科学技術に従事しており韓国科学技術の発展と大衆化に寄与するものと期待される(大徳ネットより抜粋)。 そして、いよいよ韓国初の「宇宙センター」が設立されようとしている2007年、韓国内でも宇宙開発に対する関心が高まる中、4年以上の準備期間を経て、娯楽性も供えた本格的な宇宙体験学習テーマパーク「オットッキー宇宙センター」が4月に江華島、佛恩面(カンファド、プルウンミョン)に開館することになった。 日韓の宇宙開発協力現状と未来 10月31日の朝鮮日報に記載された「ロシア宇宙庁長官『宇宙開発には韓国との協力が必要』」によると、ロケット開発ではロシアが一歩先を行っているが、通信分野に関しては韓国から学ぶ部分があるので宇宙開発におけるロシアと韓国の協力関係を目指し協議するつもりだという。 日韓における宇宙開発協力を調べてみると、「日韓地球観測ワークショップ」(2000年8月~)など、主として地球観測分野に限定されてきたようだ。 小泉政権下での「日韓投資協定 各条項の概要」によると、新たな例外措置をとることが許容される分野及び事項の日本側に「宇宙開発産業」も含まれていた。 しかしその後も、具体的な展開も見られないまま日本での政権が安倍元総理の突然の辞任から福田政権へと変わっていく中、周知のとおり韓国でも今や大統領選挙にむけて予備選挙制度を無視した立候補や、世論調査による候補一本化、文書偽造といった事件が相次いで起きて混乱状態に陥っているのが現状だ。 韓国も、もちろん日本との「宇宙開発協力」に関心を示しているのであろうが、現実的なコスト面での問題などによるのか、いまだに限定的な協力に留まっているのが現状のようである。しかし、今後の衛星やロケット技術の向上、宇宙センター完成後に衛星打ち上げ等が現実化してくる中、新たな「日韓宇宙開発協力」が模索されるべき時期に来ていると言えるだろう。 今後の「日韓宇宙開発協力」を担うことになるであろう、日韓の学生達が交流していく機会が増えていくこと。それは今後のアジア、および世界の「宇宙開発協力」へと進展していく可能性につながると言えるのではないだろうか。
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