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比内地鶏、2割はかごで飼育 「放し飼い」の基準無視

2007年11月25日08時03分

 秋田特産の比内(ひない)地鶏について、県が「すべて放し飼いになっている」とPRしてきたにもかかわらず、一部はかごで飼われていることが24日、明らかになった。生産農家や流通業者らでつくる県比内地鶏生産振興協議会の虻川景一会長が「出荷した約2割をかごで飼っていた」と朝日新聞の取材に認めた。県も同様の事実を把握し、「それでは地鶏とも呼べない」とこれまで繰り返し改善を求めていたという。

 農林水産省の特定JAS(日本農林規格)では、地鶏の条件として、生後28日以降は(1)平飼い(床や地面を自由に運動できる)して(2)1平方メートルあたり10羽以下で飼育する――などを定めている。

 比内地鶏は特定JAS規格の対象ではない。ただ、協議会は04年、「生後40日以降は平飼い・放し飼いにすること」との基準を設け、県もホームページで比内地鶏の特徴として「放し飼いであること。草や土を食べ伸び伸び育ち、ストレスも少ないこと」を挙げてきた。

 しかし、虻川会長によると、現在でも全出荷数のうち約2割は生まれてから出荷直前までかごで飼われている。06年度の出荷数は約72万6000羽。うち約14万5000羽が「放し飼い」ではなかったことになる。

 虻川会長自身も「年2万羽生産しているうち、半分はかごで飼っている」と話す。縦約1メートル、横約60センチ、高さ約50センチのかごで数羽ずつ飼っているという。

 虻川会長は「かごの方が均質に育つ。運動不足だから筋肉が発達せず肉が軟らかくて評判も良かった」とした上で、「いつかはちゃんとやろうと思っていたが、常連客もいて、やめられなかった」と釈明している。

 県も担当者が協議会の会合にオブザーバーとして出席し、改善を指導してきたという。県農畜産課では「かご飼いではそもそも地鶏と呼べない」としている。

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