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企画特集2

【現場から】

藤沢・リンチ殺人 暴行、なぜ2時間も

2007年05月27日

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殺人事件が起きた不動産会社「サンシャイン」。ビルにはたびたび、怒号が響いていたという=藤沢市鵠沼橘1丁目で

  藤沢市の不動産会社サンシャインで起きた集団暴行事件で、新たに4人が殺人容疑で逮捕された。事件は衆人環視の中で起きたという。なぜ、暴行は途中で止まらなかったのか。「社内には怒号が響き、いつ事件が起きても不思議ではなかった」。関係者からは、そんな声も聞かれた。

  県警の調べでは、事件当時、社内には、逮捕された9人を含め、約20人がいた。そのなかで、横領を疑われた経理責任者の藤村泰夫さん(47)は2時間以上も暴行を受け続けたという。

  県警によると、現場にいた社員の1人は「オーナーの指示があった」と供述しているという。オーナーとは、同社の実質的な経営者で社員への影響力が大きい岡崎福造容疑者(59)で、県警も同容疑者が暴行を主導したとみて調べている。

  法人登記によると、サンシャインは97年に設立され、以前は「源氏」の社名だった。所在地は藤沢市鵠沼橘1丁目で、元社員によると、電話をかけて不動産売買をもちかけるのが主な仕事だったという。

  複数の元社員によると、岡崎容疑者が事務所に入ってくると、社員は一斉に立って「おはようございます」とあいさつ。社員が帰宅するときも、岡崎容疑者に声をかけなければならず、岡崎容疑者が外出していれば、夜中でも待たなければならなかったという。

  岡崎容疑者は社員に対し、「なに、もたもたやってんだ」「こんな書類も書けないのか」などと怒鳴り声をあげることも多く、「藤村さんも、仕事が遅いと怒鳴られていた」としている。

  同社では、入社数日で会社をやめてしまう社員が後を絶たず、補充のための面接が毎日のように行われていたという。

  岡崎容疑者は05年10月、自伝「流動」を出版。金融会社で働いた後、78年に自ら金融会社を興し、その後、不動産会社を設立した経緯などが書かれている。昨年9月に鎌倉市内のホテルで開いたパーティーには県内の首長や議員、俳優、タレント、元裁判官らが出席しており、その映像が残っている。

  今回、事件を目の当たりにした社員たちは県警の事情聴取に対し、「止められる雰囲気ではなかった」と話しているという。元社員の1人は「指示されて、群集心理でやってしまったのだろう」と言った。

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