おしゃべりなマダム

先日本屋に出かけて、目的の物は買えずに別の本を買ってきてしまったのだが。

気になっていた本だけども、著者の顔は覚えているが、著者の名前と本のタイトルが思い出せない・・・。
内容は「大人の喧嘩の仕方」の類だった。
昨今は物騒な世の中で、素人さんが殺人者になってしまう事件が多い。
近隣住民に嫌がらせの窮みで社会面の主人公になってしまったり。
対人関係に悩み・・と言う事件も多い。

ノホホンと暮らしている私とて「このバカチンが！」と思う事も多々ある。
そんな中で、新聞だか、雑誌だかの作者紹介で上記の本を知ったのだ。
それなのに、その紹介してあった雑誌？新聞？がどれなのかを思い出せない！

こうやってボケて行くのね。しかし本棚の掃除はできた・・。

そんな事を話しながら、仕事で取材先(単なる下調べ)を訪ねて２０数年前に訪れた事のある所へ辿り着いた。
その２０数年前には、ただのドライブであったけれど、何とも言いがたい緊張感を感じた場所だった。
有名な小説の舞台にもなった所だが、そこのゾーンを抜けた時に冷や汗ビッショリだった記憶がある。

昨日は当時の恐怖が甦り、しゃべくりまくりの私が押し黙ってしまった。
が、無事に抜けて、事情を知らない同行者がホーーッと長い溜息をついた。

「やっぱり何か感じたのかな？」とその横顔を見て、前方に顔を向けたら老女が一人歩いていた・・・・ひえーっ！！
私達は息が止まった。
でもまだ日が高いので、恐怖心は然程感じてなかったが、人家がない県境の所なので、？？と誰もが思ったのだ。
ここまでに車は止まってなかったし、すれ違ってもいないので、送ってもらって降りた可能性は低い？
先に家があって、ウォーキングの最中か？でも足元は片方スリッパだ・・。

５００メートル位走ってみたが、車はない。様子が気になり引き返した。
老女は一心に歩いている。声をかけてみたが、視線が合わない。
取りあえず無理に引き止めて「お茶でも」と勧めた。その間、同行者が警察に電話をしたが、電波が・・・
涙ちょちょぎれる思いだった。とにかく運転手は電波が届く所まで走って連絡してもらい、その間おばあさんに私ともうひとりは付き添った。

一時間もしないうちに警察と家族の方が現れた。
一同ホッと胸を撫で下ろし、認知症の家族を看る大変さを痛感した。

なぜ、こんな人里離れた所に来てしまったのかを何気なく言ったら、峠を越えた町がおばあさんの故郷だと御家族の方が話してくれた。
微かな記憶は、人の五感や、動作に必ず残っているものだと感動すら覚えた一日だった。

匂い、音楽、言葉のフレーズ、景色、味。
そのどれもが、懐かしい！と感じる瞬間がある。
自分が自分であるために、五感は大切に磨いていかなければならないのかもしれない。

味と言えば、昨日ミシュランの三ツ星が発表された。ああ、やっぱり！と思う銘店が三ツ星に輝いている。
これからより、磨きがかかるのか、お高くなってしまうのか？

食の呆れるニュースが飛び交っているご時世に「さすが！」と思わせる日本の職人気質とおもてなしの繊細さの文化を是非、総理大臣を始め、議員の方々、官庁職員、企業のトップは皿洗いから修行に行って頂きたい。

本の作者から、何のこっちゃ？という展開に毎度なってしまう記事で、アイスイマセン！