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チッソ、水俣病新救済策の受け入れを拒否

2007年11月19日22時23分

 水俣病未認定患者の救済問題で、原因企業のチッソの後藤舜吉会長は19日、東京都内で記者会見し、与党のプロジェクトチーム(PT)が示した一時金給付など新たな救済策について「株主などに支払い根拠を説明できない」と述べ、現状では受け入れられないとする姿勢を正式に表明した。PT側は説得を続ける構えで、なお折衝が続きそうだ。

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会見で記者の質問に答えるチッソの後藤舜吉会長=19日午後、東京都・丸の内で

 後藤会長は、チッソが95年の政治決着の際に総額317億円を負担したことを取り上げ、「全面・最終解決で、あれ以上考えられない」と説明。二つの被害者団体が新救済策を受け入れず、国やチッソなどを相手取った損害賠償請求訴訟を続ける方針を示していることから、「今後も同じ問題が再燃しない保証はない」と受け入れに難色を示した。

 さらに「(負担が)いくらになるかわからず、現状の収益力では対応が困難」とし、「会社は株主、従業員、金融機関、取引先の協力で成り立っているが、支払い根拠を明確に説明できない。ここが一番大事」と強調した。

 ただ、与党PTとの関係では「これでおしまいで一切お話ししないとは申し上げていない」とした。液晶・電子部品など好調な事業部門の分社化を「ぜひ実現したい」とし、「いい会社を上場すれば巨額のお金が入り、(未認定患者をめぐる)今度の紛争解決でも、支払い能力上の問題は先に進む」と分社化への支援が救済策に応じる一つの条件になりうることを示唆した。

 与党PTの救済策では、対象者1人につき一時金150万円、療養手当月額1万円などを支給する。汚染者負担の原則で、100億円超とみられる一時金はチッソがまず負担した上で国などがチッソを支援する形をとる。

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