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精神科の初再診料に時間評価
中医協診療報酬基本問題小委員会
次期改定で厚労省が検討

2007.11.19

 厚生労働省は16日の中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史・早稲田大商学部教授)に、2008年度診療報酬改定で、精神科外来での初再診料に診療時間に応じた評価を導入する方針を示した。短時間で終わる診療よりも、一定時間以上をかけた診療に対する点数を引き上げるなど格差を付ける。近年、精神疾患で外来受診する患者数は増加しており、短時間の診療だけで多くの患者を診る場合は、1人1人に時間をかけて診療するよりも点数を低く設定する方向で検討する。

 厚労省によると、外来受診が増加傾向にある中で、うつ病を含む気分障害の増加が顕著になっている。精神科診療所57施設について保険局医療課が患者1人当たり診療時間を調べたところ「10〜15分」が20施設と最も多かった。また全体の平均診療時間は15分だった。初再診料の点数を何分で区切るかは今後検討するという。

 精神科外来の診療時間の評価では、初診料を算定する初診の日に診療時間が30分を超えた場合に「通院精神料法」(500点)が算定できることになっている。

 このほか厚労省は「精神科救急入院料」の要件を緩和する方針も示した。現在、施設基準として「時間外、休日または深夜での診療件数が年間200件以上」「原則として4分の1以上の患者を受け入れていること」などが設定されている。しかし、要件が厳しく、同入院料を算定できているのは10月現在で35施設(申請中も含む)しかない。厚労省は「地域格差の解消と、精神科救急医療を担う総合病院を適切に評価するためにも要件を見直す」と説明した。

 また、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」で示された退院支援の促進に向けて、診療報酬でも後押しする方針を示した。入院期間が1年以上の長期入院患者に対して退院支援計画に基づいて退院調整を実施した場合を評価するほか、入院が1年未満の患者については、精神科退院前訪問指導料を充実させることで早期の退院を促す。

 このほか、週3回までとなっている精神科訪問看護・指導料の算定回数も緩和する方向で検討する。

 一方、日本精神科病院協会などから要望のあった身体合併症患者の評価について厚労省は、多くの診療科をそろえる総合病院にある精神病床での治療を評価する方向で検討していく。

● 向精神薬・麻薬の処方制限見直し

 厚労省はさらに、精神疾患患者などの社会復帰を促進するため、向精神薬の処方制限を見直すことを提案した。1度に14日分までしか処方できない向精神薬のうち、症状が安定している患者に使用する薬剤などについて30日分まで処方できるようにする。緩和ケアに用いる医療用麻薬についても同様の見直しを行う。
 厚労省によると、麻薬・向精神薬取締法で規定されている向精神薬・麻薬80成分のうち医療用は39成分。このうち18成分は現行でも1度に30日分や90日分を処方できるが、残りの21成分は14日分が限度とされている。しかし医療現場や学会からは、「14日の制限があると、症状が安定している患者でも処方を受けるために月2回以上医療機関を受診しなければならない。このことが社会復帰を阻害している」などの指摘が挙がっていた。

 そのため、14日分の制限がある21成分のうち注射剤を除いた20成分について、処方制限を30日分まで延長することを検討する。検討対象には、エスタゾラム、フルラゼパム、フルニトラゼパム、ブプレノルフィン、ペンタゾシンなどが含まれている。

 厚労省はまた、医師に対し、向精神や麻薬を長期処方(30日分以上)する場合は、残薬や重複処方の有無を患者に確認することを義務付けることも提案した。




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