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【社会】

F2墜落、損害賠償62億円請求へ 防衛省、三菱重に

2007年11月18日 07時19分

 防衛省は、愛知県豊山町の県営名古屋空港で墜落した航空自衛隊のF2支援戦闘機の事故原因が整備ミスと判明したことを受け、点検整備を請け負った三菱重工業(本社・東京)に損害賠償請求する方針を固めた。請求額は機体評価額の約62億円前後になる見通し。防衛省から民間企業への損害賠償請求としては過去最高額になる。

 事故は先月31日、三菱重工業小牧南工場で定期点検を受けた機体の飛行試験で起きた。飛行を制御するコンピューターの配線を間違えたことにより、離陸直後、制御不能に陥って墜落、機体はほぼ全壊した。

 防衛省によると、同省装備施設本部と同社との契約に基づき、会社側の責任で機体を納入できなくなった場合や損害が生じた場合に賠償する取り決めになっている。機体が全損と判断されれば、損害は国有財産台帳に記載された事故機の機体価格約62億円になる。近く請求額を確定する。

 三菱重工業は、整備を請け負った機体が損害を受けた場合に補償される損害保険に加入しており、金銭的な損失は発生しない。これは1967年、空自のF104戦闘機がやはり同社の定期点検中に壊れ、防衛庁(当時)が損害を受けたことから保険加入が義務づけられた。

 しかし、仮に62億円全額が支払われても、同じ機体を製造する費用の半額にしかならず、航空自衛隊が受けた損失の補てんにはならない。

 F2は開発に3274億円の巨費が投じられ、価格は当初見込んだ1機54億円が実際には123億円にも跳ね上がった。さらに主翼、尾翼でひび割れなどの不具合が生じ、防衛省は予定した130機の発注を94機に下方修正したが、今回の墜落で数少ない機体がさらに1機減ったことになる。

(中日新聞)

 

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