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日本橋筋の電器店舗跡地、「ワンルーム」続々

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立ち並ぶ電器店の間で建設が進むマンション(奥)=6日、大阪市浪速区で

 ◆商店主「魅力消える」、建築主「現実的では」

 大阪市にある西日本有数の電器街「日本橋筋」の風景が変わろうとしている。経営難で閉店した電器店の跡地などで、賃貸を中心にワンルームマンションが建設されているためだ。商店主らが「商店街が分断され、街の魅力が消える」と警戒しているのに対し、建設業者は「シャッターが閉まったままの店を放置するより、街は活気づく」と主張、街づくりの議論はかみ合っていない。専門家からは、マンション低層階の商業利用義務づけなど、双方にメリットのある∧規制∨を求める声も出ている。

 日本橋筋は、堺筋沿いの大阪市浪速区恵美須〜日本橋3丁目交差点までの約600メートル。両側の歩道がアーケードになっている。

 昨年秋、通りに面してワンルーム中心のマンション(13階建て、約90戸)が建ち、その後も日本橋筋に新たなマンション建設が進んでいる。日本橋筋商店街振興組合などによると、判明しているだけで6棟の建設が決まっており、うち4棟が着工。いずれも電器店跡地で、ワンルームがメーン(14〜15階建て、約100〜150戸)という。

 高度成長期、日本橋では白物家電を扱う店が安売り競争にしのぎを削った。しかし、郊外型店舗の増加や関東資本の超大型店進出のあおりを受け、廃業に追い込まれる店が続出。でんでんタウン協栄会によると、ピークの1997年には172店あったが、今は120店を下回っている。

 相次ぐマンション建設に日本橋筋商店街振興組合の榎本悦治理事長は「電気製品の専門店が軒を連ねるのが日本橋。近年はロボット商品などで勢いを盛り返そうとしている中で残念」と困惑。これに対し、マンション開発業者は「日本橋筋の建物には、御堂筋のようなオフィス需要や商業需要があるわけではなく、地の利を生かしたマンション建設が現実的」と打ち明ける。

 商店主らは対策協議会をつくることを決め、建築主などに対し、アーケード街に面する1階部分を商業利用するよう要請を始めた。一方、大阪市経済局(商業振興担当)は「商店街には、イベントやアーケード建設の費用などに支援をしているが、街並みにまで口を挟む立場にない」としている。

 大阪市立大の加藤司教授(流通論)の話「店の跡地利用を自由競争にゆだねる考え方もあるが、このままマンション建設が続けば、電器街としての日本橋は崩壊する可能性もある。建築主側に低層部分の商業利用を義務づけるなど、地域一体となり、10年先を見据えた街づくりを進めることが不可欠」

2007年11月6日  読売新聞)

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