神奈川県在住の深田賢太郎さん(40歳)と娘の萌ちゃん(10歳)は理想の“ケータイ”親子だ。
深田さんが娘のために携帯電話を購入したのは一昨年。その際、親子で使用に際しての約束を結び、紙に書き出した(右下の写真参照)。以来、今に至るまで萌ちゃんは約束を破っていない。当然、多額の料金請求がきたということもない。
深田さんが娘に携帯電話を持たせたきっかけは娘が習い事に行き始めたこと。行き帰りの安全確認のためだ。本誌が、ネット調査会社のクロス・マーケティングの協力で実施した調査でも、携帯電話を子どもに持たせている親の42%が塾や習い事をきっかけに持たせ始めたと答えている。
公衆電話が激減しているので、安全のために子どもに携帯電話を持たせるのは自然な選択だ。それならば、同時に携帯電話をきっかけとした非行や犯罪を防ぐために正しい使い方を教える必要がある。ところが、アンケート結果では使用ルールを紙に書き出している親子はわずか2.6%だった。
子どもの携帯電話事情に詳しい受験情報誌「グローバル教育出版」の千葉義夫編集長は「きっかけは塾通いの安全確認でも、目的を超えて多用しているケースがほとんど。しかも、一度持たせると取り上げることは難しく、そのまま中学や高校進学後の継続使用につながっていく」と指摘する。
持たせる前に深田さん親子のように約束をしっかりと紙に書き出すべきだろう。
とはいっても、子どもが中学生や高校生になれば、反抗期を迎え難しい年頃になる。約束を守らせ続けるのは容易ではない。そんなときには、携帯電話会社が提供する各種のサービスも併せて利用するのが効果的といえそうだ。
特に、子どもの携帯電話利用に関するトラブルで最も多いのが使い過ぎによる高額な料金の請求。そこで、料金を一定に制限したいなら、すべての携帯電話会社が提供している定額サービスがお勧めだ。たとえば、NTTドコモの「パケ・ホーダイ」やauの「ダブル定額」などのデータ通信向け定額制料金はメールやインターネット接続、音楽や映像のダウンロードなどに必要な通信料金が一定額(最高でも4000円程度)になる。
しかし、中学3年生の息子を持つ神奈川県在住の吉田修さん(45歳)にとって、パケ・ホーダイの導入は、半分は成功したといえるが、半分は失敗に終わってしまった。吉田さんの息子が、使い放題になったためにかえって携帯電話を際限なく利用し始めたからだ。
ドコモなど各社は定額制のデータ通信を利用すると、領収証に「仮にパケ・ホーダイを利用しなかった場合、いくらかかったのか」などと参考額を記入している。吉田さんの息子はパケ・ホーダイに加入した月、なんとその参考額が約50万円にも上ったのだ。 |