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【埼玉】

歓喜の赤 揺れる レッズがアジア王者 スタンド選手と一体

2007年11月15日

浦和−セパハンアジア制覇を喜ぶ浦和サポーター=埼玉スタジアムで

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 六万のサポーターとともに、アジアの頂点に−。サッカークラブのアジアナンバーワンを決めるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝第二戦が行われた十四日、浦和レッズはセパハン(イラン)を2−0で下し、二戦合計3−1として初の栄冠をつかんだ。埼玉スタジアムは真っ赤に染まり、初優勝を祝福するサポーターのレッズコールはやむことがなかった。浦和は来月七日に開幕するFIFAクラブ・ワールドカップにアジア代表として出場する。 (井上仁)

 今大会無敗のままアジアの頂点に上り詰めた選手たち。表彰式では、この試合でキャプテンマークをつけたMF鈴木啓太選手がトロフィーを高々と掲げ、紙吹雪が舞う中、選手、チームスタッフ、サポーターがともに栄光に酔いしれた。欠場した主将の山田暢久選手に鈴木選手からトロフィーが手渡されると、スタジアム中から暖かい拍手がおくられた。

 長い道のりだった。ACLの予選リーグは三月に始まり、選手はアジア各国を転戦。その間もJリーグ、カップ戦に加え、主力選手は日本代表戦と過密日程が続き、疲労は蓄積、けが人も相次いだ。それでも選手たちはサポーターの声援を背に戦い続けた。

 最終戦のスタンドはサポーターが手にしたボードや小旗で赤白に染め分けられ、バックスタンドに描かれた巨大な“白星”が入場する選手を迎えた。午後七時半に始まった試合は、前半21分、FW永井雄一郎選手が豪快なシュートで先制点。後半にも、コーナーキックからの展開で、MF阿部勇樹選手が頭で押し込み追加点を挙げた。

 けがを抱えた選手も、体を張って走り続けた。サポーターも力の限り声援を送り続けた。タイムアップの笛が鳴ると、手拍子とともに、サポーターの歌声が鳴り響き、そして「We are REDS!」コールがこだました。

 試合後の会見でオジェック監督は「すばらしい決勝戦。選手と、この雰囲気をつくってくれたサポーターに感謝したい」と感慨深げに話した。また、クラブ・ワールドカップに向けて「準決勝でACミランと戦えるよう頑張りたい」と意気込みを語った。

外からも『声援届いた』

 スタジアムに行けなかったサポーターもさいたま市内のあちこちで観戦、声をからして声援を送った。

 Jリーグ発足当初からレッズを応援してきた居酒屋「力」(さいたま市浦和区)には、サポーターが店外の道路も埋め尽くすほど集まった。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、「うおー」と喜びを爆発させ、「We are REDS!」の掛け声を何度も響かせた。

 鴻巣市の東京農大四年兼杉拓馬さん(21)は「アジアの頂点に立つのがずっと夢だったが、こんなに早くかなうとは。自分たちの応援がスタジアムに届いたと思うぐらい、素晴らしい試合だった」と興奮した様子。

 さいたま市の室井幸子さん(65)は「こんな幸せはない。永井選手が1点目を入れた時に勝つと信じていた。レッズは選手もサポーターも一生懸命で、一致団結しているのが好き。次は世界一を目指して」と祈るように話した。

  (杉本慶一)

サポーターも力にレッズ選手コメント

 MVPに輝いたFW永井雄一郎選手は「シュートを決めたのが久しぶりでほっとしている。チームとしての責任と、自分の仕事ができた。今までこういう舞台がなかなかなくて、優勝はうれしかった」と喜びを語った。

 MF鈴木啓太選手は「サポーターのために優勝したいと思っていた。レッズにかかわるすべての人間と同様にサポーターは一緒に戦ってくれた。彼らがとったタイトル。きつくても彼らの声で僕らは突き動かされた」と話した。

 DF田中マルクス闘莉王選手は「夢を現実にしたのはすばらしい仲間とどこにもいないすばらしいサポーター」と感慨深げだった。

 MF長谷部誠選手は「選手やクラブだけでなくサポーターもこの大会の価値を上げてくれた。その中での優勝は本当にうれしい」と喜びに浸った。

 

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