記念、そして父からの最後の贈り物になった腕時計がある。
団塊世代がアイビールック等のブランド一次世代とすれば、私達の学生時代はハマトラファッション全盛ブランド二次世代になるのか?
世界のブランド物が手に入れやすくなり、また偽物も多く出回っていた。それは今も変わらないだろうが。
そんな時代に私は成人を迎えたわけだが、父が腕時計を記念にプレゼントしてくれるといって、二人でデパートへ出かけた。
カルティエ、オメガ、ロレックス、ショーメ・・と世界の銘品をお店の方にうやうやしくお持ちいただいたが、父は「シチズン」と言って譲らなかった。
「日本が世界に誇れる緻密さの技術」と父は語り
そしてシチズンを見せて頂いた。
シンプルかデコラティブか・・・。悲しいかな私は幼少の頃から水泳をやっていて、水着とジャージで青春時代を過したためか、デコラティブな物に憧れる。
で、文字盤がラピスラズリで文字をグルリとピンクダイヤで囲んで、ベルトはプラチナとピンクゴールドそしてとの大凡20歳の小娘にはふさわしくない物を選んだ。
父が好むシンプルで上品な物と正反対を選んでしまったのだ。でも、どうしたわけかあっさりと買ってくれた。
それから先の、私との時間が無いという虫の知らせだったのかもしれない。
その時計は父が亡くなった時に止まった。そして、10年近く放ったままにしてしまった。
ある時、ふと思い立って電池を入れ替えて使おうと、時計屋さんに持って行ったら、時計やさんが譲ってほしいと言う。
形見と記念の物なのでできないと、言ったら残念そうにそして、「シチズンが宝石たぐいのもので作り始めた珍しい物なので大切にしてほしい」と仰った。
知らないとは恐ろしい・・。
長い事電池切れで放置して内部が少し侵食されてはいたが、掃除して頂いて元の美しさに戻った。
引越して全く違う地で昨日、電池交換をしてもらいに行った老舗の時計やさんでも、譲ってもらえないか?と聞かれた。
とてもではないですが、無理です・・。
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コメント(1)
形見。素敵な物を頂戴されたのですね。私はお爺さんの形見の懐中時計を父から貰ったのですが、その時の曰くが「お爺さんの金歯を溶かして作った時計」と父が言ったのですがどこまでが本当か?
当時は物の無い時代でしたでしょうから、そうなのかな?と信じていますが。
2007/11/13(火) 午後 6:35 [ kaede ]