小樽市(山田勝麿市長)が進める市内築港地区での新病院建設で、今年度の起債見通しが立たず、進行中の基本設計を中断し、用地購入も1年先延ばしするという“異常事態”に揺れる中、市は、11月12日(月)に「新病院建設に対する方針」と「病院事業資金収支計画」を明らかにした。
明らかになった見直しの病院事業資金収支計画は、6月に提出された計画とは、大きな違いを見せている。わずか半年で、6月の計画が、全くの“机上の空論”で“絵に描いた餅”でしかない数字合わせに過ぎなかったことを、まざまざと露呈している。
入院・外来の医業収益は、6月の計画よりも、毎年、約5億円程度の減収となり、2011(平成23年)までの5ヵ年で約23億円も下回る数字を出した。減収分は、病床利用率の向上、人件費削減と一般会計から約5億円追加の繰入金を当てにしている。平成19年度から23年度までの5ヵ年間で、一般会計からの繰入金総額は約92億円にも及ぶことになる。
瀕死の病院会計に、破綻した一般会計から巨額の資金投入が成されることになり、子会計を助けるために、親会計の首が益々締まり、行き着く先は、“親子心中”による小樽市崩壊の筋道しか見えてこない計画となっている。総務省の公立病院改革ガイドラインは、「一般会計からの根拠のない繰入は20年度からは認められない」としており、新たに作った資金収支計画案も「到底認められない」ことになり、今回の計画も机上の空論で終わる公算が大きい。
赤字を累々と重ねる一般会計と病院会計には、国の「地方財政健全化法」と「公立病院改革ガイドライン」による数値目標がさらに重くのしかかってくる。「地方財政健全化法」では、実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率の4指標が、「公立病院改革ガイドライン」では、経常収支比率・職員給与費比率・病床利用率の3指標がある。小樽市では、そのいずれの数値でも、この指標に抵触する可能性が高く、「財政再建団体」と同じの「財政再生団体」として、第2の夕張化の足音がさらに高まってくることになろう。
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