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船場吉兆の改ざん「会社も知っていた」 パートが証言

2007年11月12日11時15分

 船場吉兆(大阪市中央区)による偽装問題で、菓子や総菜の消費・賞味期限のラベルを張り替えていた福岡市の店舗の現場責任者のパート従業員が、農林水産省の調査に対し、「改ざんは九州の取締役も知っていた」と証言していたことがわかった。船場吉兆側はこれまで「パートの独断だった」と本社の関与を否定していた。「地鶏」と偽装した商品や原材料表示の違反があった菓子類でも取引先から船場吉兆の説明への反論が相次いでおり、同省は引き続き事実関係を調べている。

 福岡市の百貨店「岩田屋」地下の店舗にはパートリーダーの女性1人とアルバイト5人が勤務。勤続3年半のパートの女性は同省の聞き取りに対し、直属の上司だった九州統括担当の湯木尚治取締役の前で期限を記したラベルを張り替えたこともあるとして、「取締役も知っていた」と証言。「ラベルの張り替えは前任者からの引き継ぎだった」「その日の売り上げや商品別の在庫状況を毎日、大阪本社へファクスで報告していた」などとも話しているとされる。

 一方、湯木取締役は11日の朝日新聞社の取材に対し、期限の改ざんについて「全く知らなかったし、指示もしていない」と改めて否定。ただ、パートの女性から「このプリン、期限切れ間近です」と相談された記憶はあるとし、「『間近』とは翌日もまだ期限内だと思い、『売ってしまいなさい』と言ったのだと思う」と釈明した。

 ブロイラーを「地鶏」と偽っていた贈答用の商品でも、船場吉兆が「仕入れ先には『地鶏』と発注していた」と説明したのに対し、納品した京都市の業者は「地鶏を注文されたことは一度もない」と否定。食品添加物や色素など表示すべき原材料名の欠落や重量順の記載違反が指摘された菓子でも、船場吉兆が「製造の委託先から聞かされていなかった」と説明したのに対し、製造業者は「原材料とその重量を書いたレシピ表を渡していた」と反論している。

 同省のこれまでの調べでも、船場吉兆側はパートの女性の証言を否定。両者の説明が真っ向から食い違うことに加え、贈答用商品や菓子商品でも、取引先や帳簿類から同省が確認した内容と船場吉兆の説明とに矛盾が多いことから、同省は調査で判明した疑問点を整理して、改めて、船場吉兆に対し、説明を求めている。

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