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【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「隊長が命令と書いていない。日本軍の命令だ」 (2/3ページ)
被「なぜ『隊長』と書かずに『軍』としたのか」
大江氏「この大きな事件は、ひとりの隊長の選択で行われたものではなく、軍隊の行ったことと考えていた。なので、特に注意深く個人名を書かなかった」
被「『責任者は(罪を)あがなっていない』と書いているが、責任者とは守備隊長のことか」
大江氏「そう」
被「守備隊長に責任があると書いているのか」
大江氏「はい」
被「実名を書かなかったことの趣旨は」
大江氏「繰り返しになるが、隊長の個人の資質、性格の問題ではなく、軍の行動の中のひとつであるということだから」
被「渡嘉敷の守備隊長について名前を書かなかったのは」
大江氏「こういう経験をした一般的な日本人という意味であり、むしろ名前を出すのは妥当ではないと考えた」
被「渡嘉敷や座間味の集団自決は軍の命令と考えて書いたのか」
大江氏「そう考えていた。『鉄の暴風』など参考資料を読んだり、執筆者に会って話を聞いた中で、軍隊の命令という結論に至った」
被「陳述書では、軍隊から隊長まで縦の構造があり、命令が出されたとしているが」
大江氏「はい。なぜ、700人を超える集団自決をあったかを考えた。まず軍の強制があった。当時、『官軍民共生共死』という考え方があり、そのもとで守備隊は行動していたからだ」
被「戦陣訓の『生きて虜囚の辱めを受けず』という教えも、同じように浸透していたのか」
大江氏「私くらいの年の人間は、子供でもそう教えられた。男は戦車にひき殺されて、女は乱暴されて殺されると」
被「沖縄でも、そういうことを聞いたか」
大江氏「参考資料の執筆者の仲間のほか、泊まったホテルの従業員らからも聞いた」
被「現在のことだが、慶良間(けらま)の集団自決についても、やはり軍の命令と考えているか」
大江氏「そう考える。『沖縄ノート』の出版後も沖縄戦に関する書物を読んだし、この裁判が始まるころから新証言も発表されている。それらを読んで、私の確信は強くなっている」