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【沖縄集団自決訴訟の詳報(3)】赤松さん「タブーのような状態」 (1/3ページ)
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《午後1時半に審理を再開。当事者席に大江健三郎氏が座ると、傍聴席の画家らがいっせいに法廷スケッチの似顔絵を書き始めた。まず、渡嘉敷島の守備隊長だった故赤松嘉次さんの弟の秀一さん(74)への本人尋問が行われた》
原告側代理人(以下「原」)「あなたは赤松隊長の弟さんですね」
赤松さん「そうです。兄とは年が13歳も離れているので、常時、顔を合わせるようになったのは戦後になってから。尊敬の対象だった。父が年をとっていたので、家業に精を出してくれた」
原「沖縄タイムス社の『鉄の暴風』は読んだか」
赤松さん「読んだ。大学の近くの書店で手に入れた」
原「戦争の話には興味があったのか」
赤松さん「戦争は中学1年のときに終わったが、陸軍に進むものと思っていたくらいだから、よく読んだ」
原「『鉄の暴風』にはお兄さんが自決命令を出したと書かれているが」
赤松さん「信じられないことだった。兄がするはずもないし、したとは思いたくもない。しかし、329人が集団自決したと細かく数字も書いてある。なにか誤解されるようなことをしたのではないかと悩み続けた。家族で話題にしたことはなかった。タブーのような状態だった」
原「お兄さんに確認したことは」
赤松さん「親代わりのような存在なので、するはずもない。私が新居を買った祝いに来てくれたとき、本棚で見つけて持って帰った」
原「ほかにも戦争に関する本はあったのか」
赤松さん「2、3冊はあったと思う」
原「『鉄の暴風』を読んでどうだったか」
赤松さん「そりゃショックだ。329人を殺した大悪人と書かれていた。もう忘れていたが、最近になって、ショックで下宿に転がり込んできたと大学の友人に聞かされた」